メイル:師の元へ
「フー。結構、振り続けていると疲れる。剣を振っているつもりが、剣に振られているようだ」
お婆さんから譲り受けた剣を振っているメイルの額には、じんわりと汗が滲み出ていた。
「メイルがその剣を使えるようになれば、向かうところ敵なしなのだよ」
「だといいがな。実際はそうはいかないだろう」
「そうかなあ? あのリバルナ盗賊ってのも、今のメイルでも勝てちゃうんじゃない?」
「そうだといいんだかな。僕の倒したい奴は、あんな盗賊なんか敵じゃないだろうし」
「メイルは何でそんなに強くなりたいのだよ?」
「倒したい奴は、僕の師匠の師匠を殺したんだ。なんとしても仇を討ちたい」
「そうだったの……。ボク、全然知らなかったよ……なんかごめん」
「メルが謝る必要なんかないぞ。僕の方こそ、君に何も言わずに済まなかった。変に気を遣われるのが嫌だったんだ」
「ボクは、いつでもメイルの事を思っているのだよ。そんなことを今更言われても困るのだよ」
ニコニコと言ってのけるメル。その表情には余裕が見えた。剣を背中の鞘に納めると、メイルは暫く考え込んだ。何度かメルの顔色を窺うと、意を決したように遠くを見た。
「メル。僕の師匠に会いに行こうと思うんだが、来た道を戻ることになってしまう。行く街に居るかどうかも分からない。君はどうする?」
「今更な質問なのだよ。ボクは、メイルと一緒に居るのだよ。いつまでも」
「フッ……。それが聞きたかったのさ」
メイルはメルと共に、師匠であるダイの元へと向かっていった。ここまでの旅路では軽く感じた背中が、今は重く感じるメイルであった。




