ウル・ティタ:国を護る者
フウマとライによる騒動から、一時間後。ウルとティタは、軍の指示に従い場所を移していた。国の中でも一際文明が進む街、ロイズ。ロイズの有名なデパートの中に、ウルとティタの姿があった。
「犯人は子供。解決したのも子供。大人の出る幕はなかったようね。キミ達の希望は叶えたわ、ワタシはそろそろ行きます」
軍服に身を包む女性。金髪の長い髪を一本に纏めて垂らしている。軍人とはいえ、オシャレには気を遣っているのだろう、ピアスを然り気無くしている。
「ワガママ言ってごめんなさい。でもお陰で助かりました。ありがとうございます」
「ご丁寧にありがとう。キミ達は強いわね。お姉さん、尊敬しちゃうわ」
「ティタ、です。私の名前!」
「そう。ティタちゃん、覚えとくわ」
女性は立ち上がると、一礼をして去っていく。
その後ろ姿が、ティタには輝いて見えていた。
「車で連れてってもらえるとは思わなかったって」
「綺麗な人だったよ」
「あんな人でも、軍人やってんだな」
「軍が国を動かせるからじゃない? もっと良い国にしたいとか」
「軍に籍を置くってことは、常に危険と隣り合わせって事なんだぜ? 余程、強い心がないと務まらないって」
「ああ!?」
「んだよ!?」
「あの人の名前を訊くの、忘れてたよ!」
「また会えるだろ、多分。大なり小なり物騒なんだからな」
「落ち着いて話をしたいよ」
ウットリしつつ、頬杖をついて目を輝かせるティタ。そんなティタを見ながら、ウルはジュースのストローを啜っていた。
※ ※ ※
一息ついた二人は、ロイズを探索していた。高層ビルや高級デパート等が、幾つも建ち並んでいる。
「わあー!」
あちこちを見回すティタ。完全に、田舎から都会に来た者だ。ウルは興味がないのか、さして立ち止まることはなく、漠然と街中を歩いている。
「ウルっ! もうちょっと楽しもうよ」
「つまんないって。俺、退屈でしょうがなくて」
「そんなにつまんない態度を取ってると、モテないよ」
「……別に構わないって……俺にモテ要素なんかないから」
「……人の気も知らないで……」
「うん?」
ティタとすれば小声で言ったつもりだったのだが、ウルには聞こえていたようだ。『なんだって?』と何度も訊かれる羽目になったが、ティタはどうにか誤魔化した。
その後もティタよりも先頭を歩いていくウル。
しかし、その足を突然急がした。何がなんだか分からないティタも、必死に追い掛けていく。
「ちょっと! 急に走らないでよ」
「悪い。野郎の気配がしたんでな」
「気配って……、誰の気配がしたのよ?」
「決まってるだろ、〝左目〟だ」
「〝左目〟!?」
ウルとティタに、一気に緊張感が走った。
軍の本部も所在する首都で、闇が動き出しているのだろうか?




