生成
居ても立ってもいられず、ウルは外へと飛び出す。メイルは、『やれやれ』と言うものの、引き留めはしなかった。
「出てこいってぇー! 俺が相手になってやる!」
「馬鹿! わざわざ相手を呼び出してどうする! 今の僕達に、あの男と戦う術はないんだぞ!?」
「さっき話してたじゃないか。コアだ、修業だって。ダイってのが、お前に言っていたしな」
「まだ僕は出来ない」
「早くしろって。野郎、いつまた現れるか知れねえ」
「簡単に言うんじゃない。そんな簡単じゃないぞ、核は」
「何弱気になってんだって。昨日、俺に偉そうに言ってただろう……『僕に不可能はない』って」
「ウルサイ。事情が変わったんだ」
「ふーん。安い自信だな。本当に、プライドが高いだけの口だけ野郎だったわけか」
「~!」
メイルの拳が、ウルの目前で止まる。ウルは微動だにせず、メイルは力を抜いてはいない。メイルの拳を止めたのは、ダイだった。
「怒りに任せて力を奮う……未熟なヤツがすることじゃないね。正直、彼の言う通りだし」
「ダイ!」
「相手の動きを封じるのが、俺の核の能力。その気になれば、お前の心臓に穴を開けることだって出来る」
ウルが先程使っていた棒を得意気に振り回すダイ。彼の目は本気だった。メイルは奥歯を噛み締めながらも渋々引き下がる。
「悪いね、俺の弟子が。詫びをする」
「いいって。俺にも落ち度はある。お互い、カッとなっちまっただけって。ありがとう……友達を止めてくれて」
ウルが頭を下げた。それを見たダイは、面を食らった。同い年の人間に頭を下げられたことなど初めてだったからだ。対応に困ったダイは思わず頭を下げた。そんな二人を見て、カッとなっていた自分が恥ずかしくなったメイルであった。
※ ※ ※
宿で眠っていたティタだったが、夕方には目を覚まし、ショウお手製のコーヒーを飲みながら寛いでいた。
「すっかり元気そうで何よりだよ。お嬢ちゃんに万が一があったら、ワシは生きた心地がせんもんの」
「大袈裟だよ、ショウさん。私、結構身体は丈夫なんですから」
ティタは、コーヒーを飲み終わると身体を動かす。じっとしているのが苦手な性分なのだろう。
「実はね、私、夢を見たんだよ? 階段が無くて困っているところに私が現れて、ちょちょいのちょいで階段を造っちゃうの。夢とはいえ、感謝されるのって嬉しかったよ」
(階段を造った……じゃと!?)
ショウは、ティタの手を握り締めて考える。ティタの瞳は変わりなく眩しい。見つめられ照れるティタ。
「お嬢ちゃん。もしかしたら……もしかしたらじゃ!」
「はい?」
何かを確信したショウは、ティタの手を握ったまま外に出る。おもむろに石を拾ったショウはティタに石を差し出した。
「な、何ですか?」
「お嬢ちゃん。この石を砂利にしてみるのだ」
「へ? いきなり何を言い出すんです」
「さあ、騙されたと思っての!」
ショウに押された形だが、ティタは石を握り締める。ショウの言っている事には意味がある……そう信じて。ティタの掌に違和感が生まれる。さっきまでとは違った感触が。
「これって!!」
パラパラと落ちていく細かい石。ショウに言われた通りに、ティタは実行できたのだ。
「成功じゃよ、お嬢ちゃん! それがお嬢ちゃんの核の能力……生成じゃ!」
「生成?」
「一から、新たな一を造り出せる能力。お嬢ちゃんは、石から砂利を造り出したのじゃ! これからもっと修業を重ねれば、もっともっと凄いモノを生み出せるのだ!」
「私の、能力!」
ティタとショウは両手を繋いで喜びをあげた。そんな二人はきっと、端から見れば、やはり祖父と孫だろう。夕陽が優しく二人を照らしていた。




