表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/130

約束の日

 季節は冬から春へ。春の心地いい陽気が、これまた心地いい睡魔となって襲い掛かる。

 ベッドの中で丸くなる少年。鳥の囀ずりに目を覚ましてはいたが、なかなかベッドから出れずにいた。

 そんな少年を起こしに来る少女。少年の名前を呼びながら、掛け布団を勢いよく剥いでいく。


「もうちょっとってェ」


「だーめ! 少しずつ早起きを出来るようになってきてるんだよ。ここで挫けたら駄目」


 黒髪の少年ウルは悶え、茶髪の少女ティタは制する。二人にとっては最早、恒例と化していた。


「相変わらずの朝寝坊か?」


「ウルくんってば、ティタちゃんに起こされたくて起きないのかな?」


 銀髪の少年メイルと金髪の少女メル。

 ウルの寝起きの悪さを知っている為か、あまり気にする素振りはなく、ガラガラと、部屋の窓を開ける。


「ウル。あまり待たせるのはよくないぞ」


「……待たせる……あ!?」


 ガバッと飛び起きるや、せっせと身支度を終えたウル。シャキッと醒めた目を見開いて深呼吸をする。


「ロイズ司令部だっけって?」


「場所を指定したのはアンタよ? 自分で言っといて忘れるわけ!?」


「あはは!」


 髪を掻きながら苦笑いをするウル。

 三人は、堪らず溜め息をついた。


※ ※ ※


「いらっしゃい。大尉の部屋で待ってるわよ」


 金髪の髪を纏め、軍服に身を包んだ女性の名はキリナ。階級は少尉。メルの実姉でもある。

 そんなキリナに連れられて、ウル達は大尉の部屋に向かう。ウル達にとっては、随分と通い慣れた部屋だ。


「来たのだね。時間通りとは素晴らしい」


 ウル達を出迎えた男性の名はライド。短く髪を整えて、軍服を着こなすその姿に心奪われる女性は多いらしい。階級は大尉。


「あれれ? どこに居るのだよ」


「お手洗いに行っている。直ぐに戻ってくる筈だ」


 ライドの言葉通り、待ち合わせの者は直ぐに戻ってきた。眼帯を着けた少女メリーである。


「早い。焦っていたの?」


「メイルの奴が五月蝿くてな。全くって」


「五月蝿いとは何だ! 当然だろう!」


「だってって」


「……相変わらずのようだ。ウルは変わっていない」


「変わらないというのも困りもんだぞ?」


「変わらないのも悪くない。ウルはウルでいい。ウルだからいいんだしょ」


 その表情を緩ませて、にこやかに笑うメリー。

 今日から彼女は旅に出る。〈精進の儀〉という三年間の旅だ。故郷を離れ、様々な場所を訪れる。


「メリーちゃん。準備は万端なの?」


「うん。そう言うメルは?」


「ボクは万端なのだよ! ね、ティタちゃん」


「当然よ。〈精進の儀〉の先輩として、しっかり後輩のメリーちゃんの見本にならないと、ね」


「これはこれは頼もしい発言だって。俺もその心構え、見習わないとって」


 大尉の部屋を後にしたウル達は、手荷物の再確認をする。充分に確認を終え、旅立ちの時間を迎える。


「皆、気を付けて。旅のご武運を祈っているわ」


「行ってくるのだよ、お姉ちゃん!」


「行ってきます、キリナさん!」


 メルとティタの声に、手を振って応えるキリナ。

 キリナの隣では、ライドも手を振っている。


「気を付けたまえ。世界は広い。精々頑張りたまえ」


「はい、行ってきます」


「その言葉、そのまま返してやるって。大尉」


「行ってくるしょ」


 五人の少年少女が、ロイズ司令部から旅立つ。

 ウル、ティタ、メイル、メルにとっては二年目の、メリーにとっては初めての〈精進の儀〉が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ