EXP.99 銀髪二人
隅にあるテーブルにて、
「離しておくれよ、ユウキ君。解放しておくれよ、ユウキ君。私が何をしたって言うんだい……私は無実じゃないかー!」
「これから何かしでかしそうだったんで……」
「そんな理由なのかい!? 今私は悲しいよ」
泣き真似で同情を誘おうとしてるのを見ると絶対に逃してはいけないと強く思う。
「どうして信じてくれないんだい! 私のこの純粋以外の何物でもない瞳が嘘をついてる様に見えるのかい!?」
「その台詞を聞くと尚更というか……そもそもシアさん泣いてないじゃないですか」
「う……それは、アレだよ。最近ほら、乾燥するし……」
急に言い訳を口にするシアさん、しかしながらどれも即座に答えた事がすぐに分かり論破も容易い。
何と言えば観念するかを考えていると不意に背後から声を掛けられる。
「随分と楽しそうだな」
「あ、アルトニアさん……今日はお疲れ様でした」
「敗者としては嫌味にしか聞こえないが……まあ、良い勝負だった」
アルトニアさんは苦笑すると近くのウェイトレスに酒と料理を注文してシアさんを訝しげに見ながら口を開く。
「なあ、一つ聞いても良いか?」
「え、良いですけど……」
皿一杯の真っ赤なスープの様な液体をスプーンで掬って頬張っていると、
「彼女はお前の恋人か? 口出しは良くないとわかってはいるが……そういうプレイは程々にな……」
「ぶっ!? 違いますよ!」
僕は口に含んでいたスープを盛大にぶち撒け、早口で今までの経緯を説明する。
「少し揶揄っただけだ、腹いせに……」
「最後聞こえてますからね?」
理由が酷い……。
「冗談はさておき……さっきの試合、決着が着いた時_」
アルトニアさんは息を吐き少し間を空けると、
「何をした?」
それは当然の質問だ。あの一瞬で、あの距離を詰める物は何も無かった。
「僕も一瞬の事なんで良く覚えてないです……」
「予想はしてたが……そんな御託は良い、あの時お前は落ち着いていた。だろ?」
図星だった、通常あの場面なら焦っても可笑しくない寧ろそれが普通だ。
「図星か……さあ、吐いてもらおうか?」
「……わかりました。ただ、教えるのはあの瞬間の事だけですよ」
「分かっている、それ以上聞く気は無い」
僕は溜息を吐きながら何処から話そうか悩んでいた。取り敢えず最初に一言伝えておこう。
「アレはただの閃きです」
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