EXP.100 Next Stage
アルトニアさんとの戦いが終盤に差し掛かった頃……。
…
擬似OSの時間稼ぎは上手くいったけどトドメは刺せず、もう策も尽きる……。
「厳しいな」
相手の耳に届かない程度の小声で弱音を吐く。
相手は戦闘スタイルから察するに長期戦を避けようとしている、火力も中々ある事から推測するとそろそろ仕掛けてくると見て間違いないだろう。対するこちらは火力不足を補う為に『特攻』を使うしかないが、オールブレードの持続時間を考慮してもあと一回が限界と見て良いだろう。
つまりタイミングを外したら即負けに繋がる。
正直この勝負はかなり不利だ。此方は相手を倒してオールブレードを解除しないと勝利にならないのに対して相手は直接倒さなくても時間を稼げば勝利となる。
唯一の勝算は相手がオールブレードの特性を知らない事だろう。
ここは先手必勝、地面を蹴る。
「鉄壁」
とここで相手が動く。
仕掛けて来た、コレを躱してカウンター……は無理か時間切れの可能性がある。でも、ここは一か八かの勝負に賭けるしか……。
アルトニアさんの足下からラインが伸び壁が形成される。
壁!?
即座に跳び壁を蹴って後方に下がる。
「加速発射っ!」
壁に罅が入ったと認識した直後眼前に迫る。
このままだと飛翔の壁に挟まれる。解除の選択肢もあるが、後が無くなる。
回避……を狙われるか。
囮として左手のタルワールを上空に向かって投げ、風で押し寄せる壁から脱出する。
ここだ、ここしかない。これより先にチャンスは無いと思った方が良いだろう。
『特攻』
全身の筋肉が悲鳴を上げながら爆発的な力を発揮し、風を切り裂き駆ける。
「加速発射ッッッ!」
相手の手元から放たれた刃、こちらの片刃刀を当てるには余りにも距離がある。
あと少し前に進めば、あと少しで相手の刃が届く。
「一か八か……」
右腕を背後に引き、
オールブレードの使用容量を右手に集中、最大まで薄くして射程を伸ばす。
調整を終了し右腕を振り抜くと片刃刀……もとい刃は僅かに弧を描きながら伸びて行きアルトニアさんの腹部に触れ砕ける。
その瞬間、アルトニアさんの身体に『特攻』の衝撃が伝い吹き飛ばされ……HPを全損する。
だが刃が迫り相討ちだと思った矢先、右手が何かに刺されその勢いで倒れこむ。
見ればカレンの光矢だ。
「間に合ったー」
「ありがとう、カレン。あ、オールブレード 停止」
溜息を吐きながら次の方向へ歩き始めた。
『アルトニア HP全損 LOST』
…
「……そんな感じです」
「なるほど……な」
アルトニアさんは顎に手を当て考えており眉間に皺を寄せているが、納得する様に頷くその顔は僅かに口角が上がっている。
「また今度勝負しよう」
「あ、はい」
約束を交わすとアルトニアさんは別れを告げ人混みに消えて行った。
遂にこの作品も100話となりました。
ここまで続けてこれたのも読んで下さる皆様のおかげです。
これからも精進しますので……よろしくお願いします。
ご意見ご感想お待ちしております。




