EXP.76 バイトリーダー その2
このゲームでは基本的に戦争中以外では街中での戦闘は意味を持たない。
腕を切り落とされるといったダメージを受けても実際にHPが減るだけで死ぬ事は無いのである。
そこで投入されたのが決闘システム、ステージ内で二人以外はダメージを受けなくなるシステムといった一対一でルールを決めて戦い互いの強さを計る物だが、プレイヤーのほとんどは賭事に使うのが普通らしい……。
この広場をステージに今、闘いが始まる。
…
男は大斧を構えタツキ先輩を煽っている。
「このLv.46の俺に勝てるか?」
「ふ、はははは」
タツキ先輩は右手を腰に回して笑いだす。その手には小型リモコンに似たスティックが握られている。
「精々頑張るよ、エリアルブレード 起動」
スティックの先端には長剣程の黄緑色の刃が形成される。
『これより、タツキ 対 ガジム の一対一の決闘を開始します』
カウントダウンの数字がゼロになると同時に男が跳躍し大斧を振りかざす。
『土竜斬』
大斧が地面に落とされ直線上に土が盛り上がっていき、かなりの勢いで土砂を巻き上げる。
「飛翔」
タツキ先輩は難なく空中に回避する。
『大旋風』
次は大斧を振り回し小型の竜巻を起こす。周りの観客は今にも飛ばされそうになっている。
しかし飛び回るタツキ先輩を捉える事が出来ず、距離を詰められ鍔迫り合いに持ち込まれる。
男はなんとかタツキ先輩を追い払うもかなり消耗しているようだった。
…
正直、ここまで一方的になるとは……タツキ先輩を怒らせないほうがいいな。
「リンゴちゃん、無礼な男をねじ伏せてやったぜ! あと、そろそろ俺への気持ちに正直になってくれても良いんだぜ?」
男に土下座させ満足気なタツキ先輩。
「な……何してるんですか。いくら態度が悪いと言え、お客様に対して……私のお給料が減ったらどうするんですか、タツキさんなんか大っ嫌いです!」
男にリンゴさんは頭を下げ、タツキ先輩はその場に立ち尽くす。
「大丈夫なんですかアレ?」
「いつもああなんだ。過度な好意のあまり彼女の仕事に支障を来し、嫌われていく一方でな、その姿から周囲からストーカーと呼ばれるようになった訳だ」
そう言えば、実況の時に梟さんがリンゴさんにストーカーがいるとか話してたな。
なるほど、これは酷い。
男に謝罪と称しタダで商品を渡したリンゴさんが戻ってくる。
「はあ……タツキさんの所為でまたお給料減ったらどうしよう……」
「でもタツキさんがいなかったら危ない所でしたね」
リンゴさんは少し考え、
「確かに……タツキさん、その……さっきは言い過ぎました。助けて頂いてありがとうございました。でも、お給料減ったらその分払ってくださいね」
「いくらでもどうぞ!!」
……これで良かったのかな。
こうして騒動は丸く収まったのであった。
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