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主人公にも安息を  作者: マト4
夏季大会編
75/141

EXP.75 バイトリーダー

「お前たち……何してるんだ?」


ここで副(真の)バイトリーダーである無表情の筋肉……グレンリヴェットさんが新たな積荷を運んでくる。


「いや〜ランが泣いちまって作業進まないからさ〜」


「すみませぇん……」


タツキさんの一言で目元に涙を増やすランさん。


「ま、そろそろ休憩時間に入るからな。前借りするとしよう」


ではこの辺で、どうして僕がバイトをしているのかお話ししましょう。



「え、リンゴさん……今なんて言いました?」


「ですから……私と同じメイド服を着用して林檎の売り子をして欲しいんです」


僕の疑問にリンゴさんは二度同じ説明をする。


「いやいや、断るに決まってるじゃないですか!?」


「ユウキさん意外とメイド服とか似合うと思うんですけどね〜」


「そういう問題じゃないんです!」


こうして裏方の仕事に回る事になり、第3部隊の皆さんと働いているわけでした。


「あの……タツキさん、この林檎って何なんですか?」


「先輩とかで良いぜ。この林檎ってのはこの時期になると『防衛都市サテライト』の管理してる辺りにある『林檎の森』っていう所でこの林檎が獲れるんだ」


「なるほど……でも、どうして売ろうとしてるんですか?」


その質問に肩を竦め知らない素振りを見せるタツキ先輩。溜息を吐きながらグレンさんが説明してくれる。


「ウチのチームが商店街にいくつか店を出してるのは知ってるか?」


僕が頷くとグレンさんは話を続ける。


「あれだけでは研究費が足りないから俺達が林檎を売ってるわけだ」


「何の研究費なんですか?」


「ああ、それなら俺もわかるぞ。ヤスイさんだろ」


なるほど、そういえばソーマに以前『魔術武器アーツ』を作っているのがヤスイさんだと聞いた気がするな。


「あと、あの林檎には時間制限があるとは言え、自然回復効果があるんだ」


確かにそれなら買いたい人も沢山いるだろう。


「おい、どうなってんだ!」


その時、店前の方から怒鳴り声が聞こえた。



裏の入り口から通路を進み、抜けると一人の男がリンゴさんに罵声を浴びせていた。


「客が来てるのに売れねえとはどういう事だ!」


「ですから今は休憩中でして……」


男は怒りを抑えたかと思いきや、下卑た笑みでリンゴさんの身体を舐め回すようにして見ている。


こんな人……本当にいるんだな……。


「なんなら時間潰すのに付き合ってくれよ」


「やめてください!」


「客に対してそれは酷いんじゃねえか?」


男がリンゴさんの腕を掴んだところでいつの間にか近づいていたタツキ先輩がその腕を掴んでいた。


「おい、放せよ。リンゴちゃんの腕が汚れるだろ」


「なんだと!? 俺様にそんな口聞いてタダで済むと思ってるのか?」


「お前こそわかってのか? 俺の女神に触れる事は誰であろうと許さねえ」


周りの者はその雰囲気に呑まれ止めに入ることもできない。僕もその一人だ。


「決闘で決めようぜ、俺が勝ったらリンゴを全部貰うぜ」


その言葉にはリンゴさんも含まれているように聞こえる。


「勝手にほざいてやがれ」


こうして決闘が始まろうとしていた。





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