EXP.72 詐欺師、再び
「わかったよ、今日はタダにしてやる」
「やったぞ、 ユウキ君。タダ飯だ、入るだけ詰め込もう」
「ゲームなんですから、満腹感を味わえるだけですよ……」
「ここ最近、あんまり食べてない」
シアさんによるまさかのカミングアウトによって僕の頭が働き罪悪感を生み出していく。
食費を削っていたとは……。確かにここ最近は特訓で稼ぎに行ってないんだった……。しかも結局前回は虫と熊が一匹ずつだけだし……。
「本当に、こんなので……すいません」
僕は土下座をする。
「いやいや、そこまでしなくても……」
いつも笑顔だからって気にしてあげられないなんて……僕はどれだけ駄目なんだ!
「あ、ダメなやつだ。マイナスモードになったんじゃ、私の力じゃどうしようもないな……」
「聞こえてなさそうですね……」
「相当な罪悪感を背負ってるんだろう。そっとしといてやろう……」
ギルさんの言葉に二人は頷き、それぞれの持ち場に戻った。
…
「美味しいですね」
「林君に料理の才能があったとはね〜」
僕とシアさんはミディアムレアのステーキを味わっていた。
「現実じゃ、こんなに上手くは出来ませんけどね……」
「いや、このレベルならお店……」
「シアさん?」
僕が笑顔で問いかけると、シアさんは口笛を吹きながら顔を背けた。
「仕方ない……ギル、ここは一つ私の条件を飲んでくれないかい?」
「条件……?」
ギルさんがゴクリと唾を飲み込む。
「ハウス買う分のお金を私に渡すんだ。そうすれば、林君のバイトを認めてあげよう」
「そ、そんな事言ったって……値が分からねえのに払えるわけねえだろ……」
「あ、それなら問題ないよ。えっと…………あ、この物件」
ギルさんの振り絞った言い訳はシアさんの表示した購入ページに負け、自らの首を絞める。
僕と林も関係のある話なのでページを覗く。
……
「これ……詐欺じゃないですか」
「え?」
「どう見ても怪しいですね……」
そういえば以前、林に聞いた話ではシアさんが物件を決めたとか……。
「どの辺が怪しいって言うんだい?」
「この写真みたいな建物がこんなに安く売る訳ないじゃないですか。こんな安く売ってたら赤字ですよ」
「そうだったのか、危なかった!」
小学生でもそれぐらいはわかるだろう、というレベルの詐欺に二度も引っかかりそうなシアさん。
心配になってきた……。
普段とは違い、僕は親の気持ちになった。
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