EXP.70 たま? には休暇も……
大会の翌日
僕は夏休みに入ったばかりの為、朝からログインしていた。
そしてシアさんと街を散歩……案内されていた。
「結局どこに向かってるんですか?」
方角的にギルドでもギルさんのお店でもない。
「ちょっと君を会わせたい人がいるんだ」
シアさんが薦める人って……良い予感がしない。
…
暫く歩き、路地を進んでいくと行き止まりに辿り着く。
「シアさん、何も無いじゃないですか……」
「こっちだよ」
シアさんが指差す方向を辿ると、足下にハンドルの付いたマンホールの蓋があった……。
…
梯子を下りると、暗い通路が現れる。
点滅する電灯や通路の奥から響いてくるカンッカンッという音が、恐怖心を擽る雰囲気を醸し出している。
僕が怯えている様を笑うシアさん。
路地に入った辺りで確信したが、この人の知り合い……ロクな人いない。
そんな考えが頭の中で肯定されている頃、現実ではシアさんと共に音の源らしき部屋の前に立っていた。
僕がそれに気付くのは数秒後の事だった。
…
「いや〜本当にごめん」
工房と思しき場所で、手を合わせて頭を下げる女性。
「だから、ちゃんと説明したじゃないか」
隣ではシアさんが腕を組み威張っていた。
「開く瞬間に、何か物が飛んでくるって」
そう数分前……扉が開くと同時に意識が戻り、眼前に迫っていた金槌が僕の顔面にもろ、ヒットしたのである。
もちろん僕が気絶したのは言うまでもない。
「改めまして、私はマキナ。見ての通り鍛治職人として生活費を稼いでる者だよ」
タンクトップにバギーパンツを身につけた女性、灰色の前髪で左目が隠れているが右目の隈がすごく濃い。
「また、オールかい?」
「仕事があってさ〜……」
呆れ顔のシアさんに笑って見せているが、この人……相当無理してるんだろうな……目が笑ってない。
「それで、今日は何の用で?」
「用も何も、私がギルに頼んだ防具をどうして作ってくれなかったのさ! その上カレンに押し付けてっ」
困り顔で答えるマキナさん。
「いや〜あの時は私もピークだったし……カレンの商品あまり買ってもらってなかったみたいだからさ〜」
「そういう問題じゃないだろう!」
「シアさん落ち着いてください……」
興奮気味のシアさんを宥めていると、
「わかったよ、何か作るからそれでチャラだよ?」
「よし、良いだろう!」
先程とは打って変わり、笑顔のシアさん……察するに僕とマキナさんは騙されたのであろう。
その頭をもうちょっと違う事に使って欲しい。
そう願う僕だった。
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