EXP.66 嵐の男 その3
ソーマを押し退けAIRAがランスに貫かれ爆発した。
『AIRA HP全損 LOST』
「AIRA選手、LOST〜。残り十一名となりました〜」
実況がかなり適当に感じるが、今更である……。
それより僕には少し違和感があった。
あのAIRAがソーマを庇った事だ。
最近現実でも話すようになり、つい先日「他人に興味はない……」と本人の口から聞いたのである。因みにカレンは何がなんでも庇うそうだ。
僕のそんな疑問は次の瞬間、遮られる。
映像が切り替わり、楓月さん達が写し出される。
剣を構えたその姿は先程とは違い、画面越しでもその迫力が分かる。
「君の師匠……つじきりはこのホワイトワールドのブレイカー個人戦1位の実績を持っている」
隣からこちらを見る事なくシアさんが話を始める。
「ガンやnekoだって個人戦では1位の実力だ。そんな彼らをまとめる彼…………楓月は、この『ゲーム内でNo. 1のブレイカー』なんだよ」
自分の憧れていた人がそんなに凄いとは……。
唖然としていた僕にシアさんは、
「いつか君もアレぐらいなれるだろ?」
こちらを向いたシアさんに返す言葉が出るはずもなかった。
とても無理だ。
せめて本音をそのまま口にすればいいはずが、僕の口からは違う一言が溢れていた。
「はいっ」
…
【幻夢 視点】
風が舞う。
楓月さんの背に弧を描きながら三本のライトエフェクトが集い、三重の円を形成する。
何度見ても凄い。楓月さんのいや、『OS』は……。
通常のスキルやエクストラスキルとは桁違いの強さを誇る。
そして楓月さんのOSは頭で理解していても、本当の『回避不可』である。
「行くぜ……『疾風』」
楓月さんが視界から消える。
背後からザシュッと何かを切り裂く音がする。振り返ると花が背を切られていた。しかし、楓月さんは……。
「余所見は良くないぜ」
またも背後から、振り返りざまに太刀を構え身を守る。
「流石にバレてると斬れねーか」
先程……弾いたり逸らしたりしていた時に比べ、鍔迫り合いをしただけで分かる。そもそものステータスが違い過ぎる。
「花、逃げて。リクトの方に行って」
「で……わかりました!」
花は言葉を飲み込み走り出す。飛翔を使おうと口を開く。
「そうはさせねぇ『突風』」
楓月さんは一度引き、横薙ぎを放つ。
太刀で防いだ瞬間、視界が、背景が、違うものに変わっていた。
背後では胸を斬られた花が砕け散る最後だった……。
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