EXP.6 不幸なプレイヤー その2
黒く鋭い爪が、地面を削る……。
間一髪で回避したものの、わずかに爪が身体を捉えた。掠っただけなのに僕の視界、左上に表示されてるHPバーが3割ほど減っている。
あと、2回くらい攻撃を受けたら間違いなく死ぬな……。
無意識にカーソルを合わせ表示されたのは[ブラック・ヴィルコラク]。
これ以上ダメージを受けない為にも僕は走り出す。当然ながら人狼も走り出し、追撃を伺っている。
「この[ブラック・ヴィルコラク]っていうヤツ強すぎません⁉︎。ここは初心者用のフィールドじゃないんですか⁉︎」
「もっと最深部にいるはずなんだけど……。とりあえず、門まで逃げて!」
「わかりました」
とは言っても、人狼の脚の速さでは追いつかれるのも時間の問題だなと考えていると。
次の瞬間、足下に地が亡くなった。
「え⁉︎」
目を疑う。
「うわぁああああああああ⁉︎」
深い暗闇の中に僕は悲鳴を上げて落ちていった……。
…
どうやら、地下洞窟に通じる穴に落ちたようだ。
HPバーが残り3割を切っている……。
危うく死に戻る所だった……などと考えていると、耳元にノイズが走るが声は聞こえてこない。
立ち上がり上を見上げると、人狼が穴を広げてコチラに来ようとしている模様。
「とりあえず、逃げるか……」
人狼が浸入する前に距離を取るべく、僕は走り出……
そうとした。その時にはもう遅く、人狼が地下洞窟に浸入していた。人狼は、僕を赫色の眼で捕らえると走り出す。
当然ながら、僕も走り出す。
そして、現在に至る……。
「グァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
人狼は咆哮を上げながら、僕と地下洞窟内を走り続けている。
だが、僕は立ち止まる。
迷路に近い地下洞窟を走り回っていたが、ついに行き止まりに来てしまった……。
背後に振り返ると人狼がもの凄い勢いで、こちらに向かって来ている。
人狼は僕を追い詰めると腕を振り上げる。その時、人狼の後ろに人の気配を感じたが、今はそれどころではなく、気にしていられる状態ではない。
人狼が腕を振りおろすのを見てから、目を瞑る。
その時、そよ風が頬を撫でた……。
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