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主人公にも安息を  作者: マト4
夏季大会編
58/141

EXP.58 雨のち晴れ その5

【アカクラ視点】


「おーっと! ここで寺戸選手LOSTー『Runner』二人によるコンビプレーに手も足も出ませんでしたー」


いや、これは……。


「釣りですね」


「え……」


キルマが俺と同じ考えを口にした瞬間、画面中央……先程まで『Runner』二人がいた場所が吹き飛ぶ。


「雨乞選手の爆裂弾ブラストですね」


キルマの発言に解説を入れる。


「射程の短い爆裂弾ブラストの短所を狙撃銃スナイパーライフルで補った一撃必殺ですよね」


「なるほど、寺戸選手が釣った『Runner』を一網打尽にした訳ですね」


「そうなりますね」


「ここで雨乞選手がリタイア。『Sniper』と『Runner』のエース対決もそろそろ決着か!」


キルマの解説者としての才能が高いな〜、などと思いながら画面のエース対決……それを引き起こしたユウキ君。そこで、ふと気づく……他二人が見当たらないと……。



【滋賀 視点】


「くそ、トーマの野郎……寺戸を使いやがって……」


一時離脱し、ぼやきながらジャケットのポケットからキャンディー棒を取り出し口に入れる。


すると、かなり離れた前方の壁から銀髪の少年が現れる。


あれは確か『Requiem』の……リーダー。あのカレンを『Seeker』から攫ったって奴か。


少年は飛翔エリアルを使い間合いを詰める。


接近戦を望む彼に至近距離で散弾銃ショットガンを一発打ちかましてやろうと、こちらも飛翔エリアルを使う。


だがその時、何かが自分を止めた。


本能か経験か直感スキルか……どれかはわからなかったが、飛翔エリアルでブレーキを掛ける。次の瞬間、一筋の光と共に爆炎が巻き起こる。


「なんだなんだ!?」


最も驚かされたのは、爆炎よりもその消えかかる炎の渦を突き抜けてきた少年の方だった。


一体どうやって……。飛翔エリアルを使った以上背後に飛ぶか壁が無ければ止まる事は出来ないはず……。


そんな動揺に漬け込むように、少年はすれ違いざまに刃を振り抜く。


僅かに左肩を斬られたが気にせず、両手に散弾銃ショットガンを構え……口を開いた。


【ユウキ視点】


意表を突いて仕留め切れなかった。


「最後に言い残す事は?」


空気を吸い込む。


飛翔エリアル!」


滋賀選手を覆う様に飛び回る。


僕にはまだすれ違いざまなんかに急所を狙う技術は無い。


白銀の柄を逆手に握り、背後に回り着地と同時にブレーキを掛ける。


しかし、先読みをしたかの様に滋賀選手はこちらに銃口を向けた。





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