EXP.57 雨のち晴れ その4
【栗キン 視点】
『一閃』
「ちゃんと狙ってんの、か」
トーマが建物を次々に切り裂く中、滋賀はそれを避けながら散弾を撒き散らしていた。
いや、『一閃』を連発すればMPが減る事くらい、いくらキレててもトーマなら分かっているはず……。
と考えていた矢先、一瞬二人が互いに前方で留まる。
『一閃』
「飛翔」
トーマが放った刃を滋賀は飛翔で上に跳んで躱しつつ前方に落ちながら銃口を向けている。
だが、遠距離を一直線に飛ぶ光弾が滋賀の左足を捉える。この射程となると寺戸の狙撃か。
衝撃で滋賀が落下する。そこを逃さまいとトーマが走る。
なるほど、あえてキレてるふりをして壁を壊して味方の援護を受ける気だったのか。
一人で納得しながら突撃銃を撃とうとして失敗し頭上に撃ってしまう。今度こそとトーマに向かって弾を撃つ。
俺が使ってるのは追尾弾だから適当に撃っても六〜七割は当たる。
当たる事を確信した俺は、放つと同時に離脱を試みる。
「リタイア!」
視界に一分とゲージが表示され身体が動かなくなる。
「チッ」
トーマは俺の放った弾に気づき、刀で弾くも数発が身体に命中する。だが、重要なのはその瞬間……滋賀から視線を外してしまった事だ。
「くたばれ、カ〜ス!」
滋賀は好機を見逃さず、散弾銃のトリガーを引く。
声で判断したのかトーマは背後と銃口の間に防壁を展開し身を守る。
しかし瞬間火力だけなら最強の銃弾『散弾』を至近距離で受けては無事ではいられる訳も無く、腕や足に多くの銃痕が現れていた。
その隙に滋賀は飛翔で戦線を一時離脱し、トーマはこちらに走って来ている。
残り十秒という所で刀が振られる。
「ひとつ貸しだぜ、滋賀」
ここまでかと思った瞬間、空から降ってきた銃弾がトーマを捉える。
まさか先程の誤射が命中するとは……。
そしてゲージが零になり視界が光りだす、そんな中つい本音が口から出る。
「俺ってやっぱりラッキーだな」
…
【寺戸 視点】
命中はしたが、足一本じゃ……トーマさんに怒られそうだな。
そんな事を考えながら青ジャケットを着こなした青年……見猿さんのシンプルな片手長剣を避けていた。
身を躱し逃げようと階段のある方向へ走るが、壁で死角になっていた場所から待ち伏せていたチクワさんが両手の散弾銃をこちらに向けた。
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