EXP.42 青月の咆哮 その2
耳元にノイズが走る。
「作戦名『青月の咆哮』開始します」
その一言で、僕達は二手に分かれた。
…
再び夜の森に足を踏み入れた僕達は、林の捜索を行っていた。
「寒っ……もう9時半かぁ……。いつもなら、もう仕事も終わってるのに……」
「文句を言うな、友達の頼みなんだろ?」
青ジャージの全開になったチャックを閉め、ブツブツと愚痴を零し始めたソーマにアカクラさんが説教を始める。
「それに……AIRAが禁句を言った時に側に居たそうじゃないか?」
「え、何でそれを……」
「カレンからメールで報告された。ま、今回の頑張り次第では……聞かなかった事にしても良いよ」
「何でだろうー、急にやる気が出て来たなー」
なるほど、やる気のない人にはこういう手口でやる気を出させるのか……。今度教わろうかな……。
そんな事を考えながら歩いていると、[ハニーロック]の群れと鉢合わせ戦闘を開始した。
…
僕が背から剣を抜こうとすると、アカクラさんに止められ戸惑う僕にアカクラさんが、
「今回の俺達の任務はあくまで人探しだ、それに働きたい奴が居るみたいだしな。なあ? ソーマ」
「わかりましたよ……」
ソーマは右手をジーパンの腰に回すと、先に水色の刃が付いたダガーの様な白い柄を取り出す。
「スピアー 起動」
その声に反応し、白い柄が直線上に伸びて槍と化す。
「来いよっ、虫けら共」
蟲の群れがソーマに襲いかかった。
…
ソーマは蟲達の攻撃を防いだり避けたりして、装甲の薄い背後に回って1匹ずつ倒していく。
そんな戦いを見つめていると、アカクラさんが口を開く。
「アレは『魔術武器』と言ってホワイトワールドが開発している技術で、物理耐性と魔法耐性が高い相手に対抗すべく作られたんだ。だが……製作費用の高さから一部の人間しか持てないんだ……」
そんな話を聞いていると、ソーマがかすり傷一つ無く蟲達を全滅させた。
「時間が掛かり過ぎだ」
「そんなキツイ事言わないでくださいよ」
アカクラさんがソーマに説教を始めようとした瞬間、爆発音が森に響き渡った……。
…
【カレン視点】
「AIRA、我儘を言ってアカクラを困らせるな」
「わかった……」
注意され、しゅんとするAIRA。
どうして私の妹はこんなにも可愛いんだ……。
抱き着きたい想いを精一杯抑えていると、目の前の茂みが揺れる。警戒心が高いAIRAが愛用の黒いシンプルなデザインの拳銃を即座に取り出す。
「はあ……あれ? カレンさん」
「り、林⁉︎」
「キキョウさん、目標を確認しました……。これより合流地点に向かいます……」
「了解」
AIRAがキキョウに報告するのを確認しながら、林に問いかける。
「無事で何よりだ。[ブルー・フルミネ]はどうした?」
「二人とも、とりあえず隠れましょう」
林の言葉に従い、AIRAを呼んで茂みに隠れる。すると、[ブルー・フルミネ]が青蛍の群れを引き連れて来る。
「マジか……」
私はつい、そんな事を呟いてしまった。
青蛍の群れが散っていく。つまり、先程の様に見つかる事が目に見えていた。
「どうしますか?」
林の問いに少し悩み、答える。
「先手必勝かな」
閃いた作戦を二人に伝え、AIRAを違う場所へ、林は近くの茂みに待機させる。そして私は、
「光矢+起爆」
矢の色が深い青に変色していく。
『蒼星矢』
それと、
「増幅」
の一言と共に矢の先端に、白く光るカーソルが出現する。
弓を引き絞り矢を放つと、炎の渦が巻き起こり……青い灯火を掻き消した……。
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