EXP.40 青月の咆哮
青蛍の群れが散り……鋭く光る黄色の眼と、白い体毛と角が露わとなる。先端が尖った長い尾を振りながら、白獣は黒熊に近づいて行く。
カーソルを合わせ、表示された名前は[ブルー・フルミネ]。
月明りに照らされた、その姿を……僕は見つめる事しか出来なかった。
…
白獣があと数歩というところで、黒熊が背後の影に気づく。
黒熊が立ち上がり戦闘態勢に入る。それを見て白獣が咆哮すると、青蛍が僅かに白獣の元に集う。青蛍の起こした僅かな静電気を吸収し、白獣の白かった角と尾の先端が青く光りだす。
電気が走っている白獣が構えると僅かな沈黙の後、二体の闘いが始まった。
…
黒熊の爪をヒラリと躱し、背後に回ると尾で黒熊を薙ぎ払う。
飛ばされても尚、挑もうと黒熊が飛び掛かろうとした所で、白獣の全身を走っていた電気が一気に放電され、感電した黒熊がその場に崩れ落ちる。
白獣は最後に息の根を止めるべく、黒熊に前脚を乗せて放電した。
…
黒熊の死骸を貪る白獣を僕は見る事しか、出来なかった。
「ユウキ、今の内に逃げよう」
カレンが小声で放った一言で、現実に引き戻される。
「わかった……よし、今の内に逃げよう」
僕の言葉に頷いた二人と茂みを伝って、その場を離れる。
そんな中……僕に近づいて来た青蛍を手で払い除けると、青蛍が発光しながら群れの方に飛んで行く。
岩の元まで辿り着いた僕達は走ろうとして振り返る。
そこには、何かに反応するかの様に白獣がこちらを振り向き、鋭い瞳で僕達を睨みつけて来た。
…
暗闇の隙間から光が差し込んでくる。
目を開くと病室の様な白い壁が現れる。上半身を起こすと、急な頭痛が襲ってくる。
「気がついた……?」
その聞き覚えのある声の方向に視線を向けると、ワイシャツに黒いスカートを合わせたAIRAさんが椅子に座っていた。
「AIRAさん……」
「AIRAで良いよ……、身体は大丈夫……?」
「ちょっと頭痛がするぐらいです……」
そう……とAIRAさんは呟きながら、読んでいたと思しき開いたままの本をパタンと閉じた。
「ちわ〜、AIRA〜ユウキ起き……た……」
「おはよう、ソーマ」
病室の扉が開かれ、入って来たソーマに軽く挨拶をする。
「お、オレ……アカクラさん達呼んでくる!」
ソーマはそう言い残して、病室を出て行った。
「挨拶してくれなかったね……」
AIRAさんの一言が僕の胸に突き刺さった。
…
病室の扉が開くと、シアさんとカレンが立っていた。その背後にソーマ、前髪を上げた赤色の髪に黄色のシャツと白いジャケットに黒いジーパンの男と、灰色の髪に紺色のスーツを着た男の二人が立っていた。
灰色の髪の男が何かを言う前に、
「ユウキ君! 無事でよがったよ〜!!」
彼女は躊躇なく、怪我人の元に飛び込んだ……。
今年から始まったこの作品をいつも見てくださってありがとうございます。
三ヶ月ぶりの更新を見てくださった時はとても嬉しかったです。
来年もよろしくお願いします……。
それでは、また来年お会いしましょう。
皆様、良いお年を!!
ご意見ご感想お待ちしております。




