EXP.39 日常とは、何かがあるから輝かしい
白銀の3連撃を受けた黒熊は、後ずさり始めた。
「カレン、今だ!」
僕は合図を出すと、背後に向かって走り出す。それを待ったかの様に蒼い矢が飛び、再び炎が吹き荒れる。
黒熊は所々から煙を出して倒れた。
…
「一時はどうなるかと思いましたよ……」
「そうだぞユウキ、林の言う通りだ。何故あんな無茶をしたんだ?」
「スキルを習得したので、ちょうど良い相手かな〜と思って……」
「無茶は良くないぞ、ユウキ君」
僕は先程の行動に対して、三人に注意されていた。
「皆んなもそろそろ夕食だろ? 続きは一度ログアウトしてからにしないか?」
カレンの意見に全員が賛成したので、自分達の国……ホワイトワールドに帰還した。
…
「お兄ちゃん、ご飯できたから早くして」
「わかったよ、恋華」
現実に戻ると扉の向こうから妹の早乙女 恋華の声がしたので、リビングに向かうと恋華が炒飯の乗った皿をテーブルに運んでいた。
「お母さん、今日は遅いって」
幸薄そうな綺麗な顔立ちに短く切り揃えた黒髪の少女。
「恋華……髪切ったの?」
「え、よ良く気づいたね」
「偶々だよ」
静かに食事を続け、
「ごちそうさまでした」
「え、もう良いの? あ、お風呂は?」
「今日はいいや」
僕は恋華に一言告げて、自分の部屋に篭った。
…
「それじゃ、そろそろ行きますか」
ログインすると、カレンとシアさんが準備をしていた。
「こんばんわ」
僕が二人に挨拶をしていると、ちょうど林がログインしたので準備が終わり次第、出発した。
…
月が照らす林の中を僕達三人は進んでいた。
「このゲームっていつ月とか出てるの?」
「あ〜それはね、このゲームは12時間で1日の計算で……今が午後6時半だから30分くらい前から夜になったんだ」
「なるほど……」
そんな会話をしていると、岩の間から[ハニーロック]の群れが居るのを見つけたので、僕達は茂みに隠れながら接近した。
「なんか、さっきから小さい青い光が見えるんだけど気のせい?」
フヨフヨと青い光が飛んでいるのだ。
「気のせいなんかじゃない。青蛍だ」
「なんですかそれ?」
「羽を物凄い速さで動かして静電気を起こす虫だ」
僕達がそんな会話をしていると、急に現れた[キラーベア]が北側の群れの一匹を仕留め、食事を始めた。
それを見て、蟲達が四方八方に別れて逃げていく。
だが、蟲達は僕達のいる南側では無く、黒熊を避けて北側に向かっている。
僕達に気づいているのかと思いながら南側を見ると、岩陰から青蛍の群れが飛んできた。だが、蟲達が逃げたのは青蛍の群れのせいじゃない事が見てわかる。
青蛍の群れの隙間から入った月光に照らされながら、白い獣が黒熊を見つめていた。
ご意見ご感想お待ちしております。




