EXP.37 蜜と熊とフラグ
剣を構えた僕と林、そして対峙する[ハニーロック]。
それは、分厚い殻で身を硬め4本の脚の先に鋭い爪を携えた、人よりひと回り大きい昆虫の様な見た目の生物だった。
「あまり知られてはいないが、その材質からドロップ品として、かなりの額で取引される。しかも、あの中には沢山の蜂蜜(養分)が詰まっている事から経験値も、無理して強敵を倒すよりも楽に儲けられる」
「へー」
通信システムによって、耳元に聞こえるカレンの説明に返答して標的に意識を向ける。
「ユウキさん、行きますよ」
「わかってるって」
僕と林は左右に分かれて、突撃した。
…
僕達は[ハニーロック]の脚と頭が非常に硬く、数体目なのに攻め込めずにいた。
「光矢」
その一言と共に青白い光が蟲を背後から刺す、蟲は断末魔をあげて砕け散った。
「何回見ても、凄いですね」
「急所に当てればね。誘導が良いからだよ」
「シアさん、まだ近辺にいますか?」
三人になったので戦術を取る様にした今回は、僕と林が左右から迫り誘導、カレンが背後から狙撃という形で順調に狩りを進めていた。
「近くに一匹いるんだが……。大きさ的に[ハニーロック]じゃ無さそうだ」
シアさんの応答を聞いて、二人に提案をする。
「二人とも、ちょっと茂みに隠れよう」
無言で頷く二人と茂みに隠れると、丁度良く黒い獣が現れた。
…
カーソルで表示された名前は……[キラーベア]、如何にも人を殺しそうな赤い瞳を持った黒い獣だった。
熊は僕達に気付く素振りを全く見せず、蟲から飛び散った蜂蜜を舐め始めた。
それを見て林が、小声で提案する。
「気付かれてないようですし、今のうちにココを離れましょう」
「そうだな」
カレンが返答して、動き始める。
この時の僕は、一つの考えが脳内をループしていた。
それは…………、
「グルルルルル……」
その声にならない音を聞き、振り返ると[キラーベア]が今にも襲おうとしていた。
僕は、林の発言をこう思ったのだ。
フラグでは無いかと…………。
僕達は前を向くと、振り返る事なく、
「グルァアアアアアアアアア!」
全力で走った……。
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