EXP.33 戦いの果てに……?
「このクソチビ、 ぶっ殺してやる!」
「さっきからうるせーぞ! 乳オバケ!」
「そんなにデカくないわ!」
そんな暴言の争いを眺めながら、少し落ち着いてきたリンゴさんの説明に耳を傾けていた。
「それで、頭を打ったカレンが怒って林さんを投げ飛ばしまして……。林さんが急に暴言を吐きだし始めて……。現在に至ります」
どうせ……飛んだ先にいた人が、落とした剣をたまたま林が握って、怖い方の人格になったって感じか……。
「あの〜、早くふたりを止めてくださいよ……」
この人は簡単に言うが、僕にはふたりを止められる程の力は無い……。
僕のそんな考えとは、裏腹に二人の攻防は激しくなっていく。
「視界の邪魔なんだよ! その無駄な脂肪が!」
「だから! そんなにデカくないって言ってるだろ!」
仕方がない……止めには入るか……。
こうして僕は、激戦の中に向かって行った。
…
「すいませんでした!」
林がカレンさんに土下座をしている……。
「いや、私の方こそ急に投げてしまったし……」
「いえいえ、そもそもはボクが悪いんですから……」
先程から互いに謝罪し合っているのだが、……何故か僕が一番重傷なのである……。
僕は戦いの中に入り、カレンさんの攻撃を背で受け、林から攻撃を受けながら武器を奪い取った訳だが……。
普通に考えて、僕に謝る所じゃないのだろうか。
そんな僕の元に小走りで戻ってきたリンゴさんが、緑色の液体の入った瓶を差し出してきたので、僕は右手で受け取った。
「ありがとうございます」
「お礼を言うのは、こちらです。そんなに身体を張ってくださって……」
身体中は痺れる程度だが、見た感じは……色々と斬られて治りそうに無いが瓶の中身を飲み干すと、HPバーの数値と傷口が徐々に戻っていく。しかし、斬り落とされた左腕だけは治らずに、その辺を転がっている……。
腕が無い人ってこんな感じなのだろうか……。いや、もっと痛いかな……。
僕がそんな事を考えながら、リンゴさんに手を借りて立っていると、林が僕の左腕を持って来た。
…
「応急処置、応急処置、応急処置……」
「もう大丈夫だって、腕くっ付いたって」
先程から林が、泣きながら長刀を持って回復スキルを僕に向かって唱えている。
「本当ですか……?」
僕が頷くと、林は涙を袖で拭った。
だが、林の泣き顔を見ていると口角が上がってしまう。林には悪いが、物凄く女の子が泣いている様で可愛いのだ……。
一件落着したので、泣き止んだ林と共に僕はギルドの片付けに参加した。
…
「……それで、カレンなら良い場所とか知ってるかなと思って」
「うーん……。なるほどね……」
カレンさんは、しばらく悩む仕草をすると、
「リンゴの頼みだ、少年たちに力を貸そうじゃないか」
「い、良いんですか? こんな初対面な上に、あんな事を言ってしまったのに……」
俯いて問う林にカレンさんは、
「それを言ったら、私だって君達に危害を加えてしまったしな……。それに少年少女が困っていたら、助けるのが年上の義務だろう?」
なんか……何処と無く、楓月さんに似てるなぁ〜。
僕はそんな事を考えながら、彼女の話に耳を傾けた。
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