EXP.29 疾る稲妻
それは、この火山にいる蜥蜴などとは比べものにならない程の大きさで、[バレット・ボール]が一回りだとしたら、それは二回り以上する。その上、赤い鱗を纏った蜥蜴の様なデザインに、火蜥蜴には無かった炎を身に纏っている。
黄色の瞳を炎で灯しているかの様に光らせ、こちらを直視している……。
その生物を簡単に言い表すなら誰もが、「……ドラゴン……」と言うのだろうと僕は思った……。
モンスター名[バーニング・リザード]。
…
呆然と立ち尽くす僕達を睨み続ける灼熱竜……。
「とりあえず……逃げよう……」
そんな僕の提案に林が、何一つ間違いのない解答をした。
「ここはおそらくボスエリアです。アレを倒すかボク達が全滅しない限り、ここからは出られないと考えるべきでしょうね……」
そんなやり取りが聞こえてるのかどうかは別だが、灼熱竜は咆哮した様に見える。だが、先程の咆哮に比べるとかなり小さく聞こえる。
そんな事を考えていると、急に灼熱竜の口から炎が溢れ出し、放たれる。
まだ戸惑いもあったが、あの火矢だけは受けてはならない事に気づき左右に飛び退く。
真直ぐこちらに飛んで来た火矢が、地面に着火し爆発を起こした。
互いに別の岩陰に隠れ、大声で作戦を練る。
「イテテ……。林、大丈夫!?」
「大丈夫です! ですが、ボク達は戦う道しか残されてないようです!」
「わかった、負けるとは思うけど頑張ろう!」
「はい!」
…
灼熱が飛び行く戦場で、トリマキである[フレイム・リザード]たちと交戦していた。
一度に群れで攻撃して来るため、多くのダメージを受けるのは仕方が無い事だが、火蜥蜴のかたまりを全滅しようとすると灼熱が飛んでくるため、倒しきれない。
1匹でも群れでも、大した力は持たないが指揮をとる奴が居るだけでこれ程までに強くなるとは想像もつかない……。
引き気味に戦っていると、灼熱竜の直線上にある大きな岩陰に辿り着いていた。隣には林の姿もある……。
険しい戦闘の中、林が一つの提案をを出した。
「ユウキさん、囮になって貰えませんか?」
…
とりあえず、周辺の火蜥蜴を倒しトリマキが消えた灼熱竜との2対1となる。
「コード[Blade of trust]アンロック」
この言葉を聞くと僕は、作戦通りに岩壁から走り出した。
灼熱竜は当然のようにコチラに火矢を撃ってくる。
火矢を躱し距離を詰める。
大岩に隠れ、火矢から身を守る。
岩陰から見えた、長刀を右上段に構える少年の姿に慌てて岩陰から逃げる。
そんな僕に火矢を撃つべく、灼熱竜の眼中に少年はいなかった。
右上段に構えられた長刀に電気が走る。次の瞬間、稲妻は紫電と化す。
そして、長刀が縦に振り抜かれる……。
『電光一閃・疾輝』
刹那、空間に稲妻が疾った……。
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