EXP.22 金欠冒険者
「商店街?」
「はい、ここは商人プレイヤーの為にギルドが貸してるスペースでして……、職人プレイヤーのチームなどもお店を出しているので、武器なら困りません」
「へ〜」
「ただ、借りてるスペースの分ギルドにお金を払わなければいけないんです……。そのため、商品が高かったりします」
「……」
ギルド側からすれば、利益しかないけど。冒険者……商人や職人は4割くらいしか得してない気がする……。
苦笑する彼女に釣られて僕も苦笑せざるおえない。
「うちのチームも店を出していて、他の店よりは安く済むと思うので……そこに行きましょうか?」
「お願いします」
ー歩くこと5分ー
『Nature weapon』
それが店の名前だった。
木をイメージする様な看板や外見の店で、内装も同じイメージを僕に与えた。
「このお店では、探索で入手した素材から武器を作るので性能も問題ありませんから……たぶん……」
最後のほうの声が小さくて聞きづらかったが、絶対に「たぶん」と言っていた……。
とっとりあえず、店内を回ることにしたのだった。
…
どんなのが良いのかよく分からないから聞きに来たのに、手分けして探すことになるとは……。
リンゴさんの時間の都合で急がなければいけないことになり、別れて武器を探している。
俯いて歩く僕は気を引き締めるべく、両頬を同時に叩き顔を上げる。
すると、視界に反射した光が入り込む。それは、棚のちょうど手が届く程の距離にあった。
手に取って気づく、僕はその剣に魅了されていた。赤と茶色が混ざった様な色の鞘から僅かに僕を覗くそれは、鞘から抜くとより輝きを増し、雪の様な冷たさが僕を魅了した。
「ユウキさんっ、良いのがあっちに……」
完全に見惚れている僕を見てリンゴさんはクスクスと笑いながら近づいてくる。
「それにしますか?」
「……は、はい」
手に取る白銀を鞘に納め、値段に視線を移し愕然する。
……さっ3万G⁉︎ 僕の所持金は2万ちょっと、9000Gは必要だ……。
「お金……足りませんでしたか?」
僕の表情にリンゴさんが心配そうに問いかける。
「はい……9000Gくらい……」
「……仕方ないですね……9000Gお貸しします」
「え」
「ただし、ちゃんと返してくださいね」
先程とは異なり、笑顔を崩さない彼女に僕は唖然する。
「時間がもう無いので、早くお願いします」
「はい……」
トレード(僕は貰うだけだけど……)
$
「ありがとうございました……」
場所は再び、受付カウンター前。
「返して頂ければ結構ですよ」
「でも、利息とか……」
「そんなの無いですから……」
その後、しばらくの間はこの繰り返しだったが、僕もそろそろ時間なので、気を改めて感謝を伝える。
「それじゃあ、ありがとうございました!」
「また、いらしてくださいね〜」
その日の夜は、謝罪の気持ちともう半分……一文無しの悲しみが僕を寝かせなかった……。
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