EXP.140 銀髪伝説 その14
大幅に遅れてしまい申し訳ありません。
背中を刺され、前のめりに倒れ込む。
痛っ……刺されてわかったけどこの刃、僕がLOSTするまで飛んで来るらしい。現に今も少しずつ食い込み、傷を塞げない為HPが徐々に減っている。
「追尾弾+追尾弾」
もう次の詠唱!?
『斬撃追尾弾』
新たに形成される刃。
剣で弾くには、起き上がらないといけないがとても間に合いそうにない。
刃を避ける為に身体ごと右に転がっていき、壁にぶつかる。
飛んできた刃は床に突き刺さり、暫くは抜けないだろう。だが、先程の回避の際に盾と背中に刺さっていた二本の刃が抜け落ちてしまった。
「はぁ……もーそろ諦めてくんないかな? こっちも時間押してんだよね」
「それが僕らの仕事ですから」
「うっわ、ムカつくなー」
Lokiの発言に合わせて挑発し、少しでも時間を稼ぐ。
起き上がろうにもHPを七、八割りほど削られて身体に力が入らない。このままだと三本の刃に串刺しにされるだろう。
「ま、いいやバイバ〜イ」
Lokiの放った三本の刃が一斉に飛来してくる。だが、身体はやっと力が入るようになってきたばかりでとても回避できそうにない。
「やっぱり僕には無理なのかな」
諦め、目を閉じると楓月さんの後ろ姿が映り遠のいていく。
「ユウキさんっ!」
名前を呼ばれ、目を開く。
そこには大盾を構える林と、しゃがみながら僕に手を伸ばすスノードロップさん。
「スノーさん、今のうちに」
「わかった。治癒+治癒」
スノードロップさんの手から広がる七色の光が僕の身体を包む。
『超回復』
光が純白に染まると同時に、全身に熱を感じる。暖かいと感じた次の瞬間には身体中が熱くなっていく。
「あっつ……」
「五分くらい、耐えて……」
「ユウキさん、ファイトです!」
林は僕にエールを贈りながらも大盾を操り刃から僕達を守っている。
「チッ、ヒーラーかよ……散弾+散弾」
Lokiの両手に現れた立方体が合わさり、斜方立方八面体へと姿を変え、淡い光りを放つ。
『徹甲炸裂弾』
Lokiの一言で斜方立体八面体に罅が入り、形を保てずに崩れていく。
「そんな薄っぺらい盾じゃあ徹甲炸裂弾は防げないよ」
「なら、二重防壁全開」
大盾が僕達を包む様に広がっていき、それと同時にLokiの大小様々な破片が光を放ちながら一斉に動き出す。
林が大盾を正面で構え、受け止めるとズシンと身体に響くような音と共に林の身体が徐々に後退する。
「弾かれる……?」
「そうだよ、徹甲炸裂弾には『ノックバック』の効果があるのさ」
『ノックバック』って確か……強制的に距離を開けられる効果だったような。
でも、林を下がらせたところで僕達との距離が詰まって寧ろ守りやすくなるだけじゃ……。
「止んだ……?」
その言葉は林の口から漏れたものだった。
破片の猛攻を凌ぎ切り生まれた僅かな時間が緊張感を和らげ、林の集中力を下げていく。当然、その隙をLokiが見逃す筈もない。
「茶髪ちゃん、右右!」
気が緩んだ瞬間、投げかけられた言葉につい意識が釣られてしまう。
「違う、左だ!」
僕の一声で正気に戻った林は左から迫っていた刃を一瞬遅れながらも大盾で防ぐ。
しかし、上手く弾くことができなかったようで大きく体勢を崩し、残りの二本の刃に左右の脇腹を切り裂かれる。
「あらら……そっか、そっちから見たら左か。ごめんごめん」
「また騙されるとは……応急処置」
ヘラヘラと笑いながら次弾の詠唱に入るLokiと、刃から僕たち二人を守りながら自身の傷を治療する林。
そんな状況をただ見続けるだけの自分。
シアさんにあんな啖呵を切っておいてこんなんじゃ……顔向けできない。
「林、次の攻撃まで防いでほしい」
「わかりました」
「む、無理だよ。まだ君のHPを回復をしただけで傷も塞いでないし……」
確かに傷は治ってないから身体の至る所が筋肉痛みたいに痛い。だけど刺されて直ぐに比べたら大分ましだ。
「さっきに比べたら痛みも和らいだので大丈夫ですよ」
作り笑顔で誤魔化そうとした瞬間、思いっきり背中を叩かれた。
「くぅっ!?」
傷口を、何度も……。
「まだ……痛そうだけど?」
そう思うのなら少しは手加減して欲しい。
「そりゃあちょっとは痛いですよ」
僕の痛みを堪えて作った渾身の笑顔には……きっと青い筋が入っていたことだろう。
「わかった……けど、無理はしないで……欲しい」
「わかりました」
スノードロップさんは分かっていない。
可愛い女の子にそんなこと言われたら、どんなに辛くても苦しくても頑張るのが男なんだと。
「ユウキさん、来ます」
「内緒話は終わり? なら行くよ『徹甲炸裂弾』」
先程同様にLokiの周囲を漂っていた破片が一斉に動き出し、こちらへ向かって飛んで来る。
「二重防壁全開」
展開された防壁に次々と破片がぶつかり、振動と共に後ろへ押されていく。
「ユウキさん、これ以上は盾を維持できません。あの刃物は……」
「これを防いでくれるだけで十分だよ、いつも無理言ってごめん」
「いえ、それで皆さんのお役に立てているのなら、問題ありません」
こんな状況なのに……いや、こんな状況だからか凄く感動する。
二重防壁に罅が入り始め、そんな感慨に耽っている場合では無いと認識し直す。
「ふぅ……。マキナさん、信じてますよ……」
深呼吸しながら今は避難所に居るであろう人物に念を送り、剣を強く握り締める。破片の猛攻を凌ぎ切り、防壁が砕け散ると同時に林の前へ飛び出す。
「解除」
白金の剣が光を放ち、純白に姿を変える。
迫り来るは三本の刃。速度は早いけど来る場所が分かっていれば問題はない。
『ソニック』
白い剣を淡い青が包み込み、繰り出された三連撃は全ての刃を叩き落とした。
なかなか話がまとまらず、書く時間も取れなかった為とはいえ、ここまで遅れてしまい本当に申し訳ありません。
最終回予定の次回はなるべく早く投稿できるよう頑張りますので何卒お許しを。
ご意見ご感想お待ちしております。




