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主人公にも安息を  作者: マト4
BW乱戦編
138/141

EXP.138 少女と悪戯紳 その3

見直す時間がなかったので誤字・脱字があるかもしれませんがお許しください。

【林 視点】ギルド内部


スノーさんを庇うように前に立つ。


「いやー……なんかさーここまで来ると運命的なものを感じるよね」


ボクたちの進路に立ちはだかるのは、ユウキさんとの出会いを作った遠因にあたる相手。


「あ、もしかして俺のこと忘れちゃったぁ?」


「忘れるはずありません!」


人を煽るような態度にへらへらとした作り笑顔、くすんだ金髪が印象的で、『悪戯神』の二つ名を持つ。


「嬉しいこと言ってくれるじゃん。元気してた、茶髪ちゃん?」


彼のプレイヤー名はLoki、ボクの因縁の相手だ。



「悪いんだけど今日は茶髪ちゃんじゃなくて後ろの子に用があるからさー、退いてくれると嬉しんだけど……どうかな?」


「お断りします!」


「やっぱ? 君とはどうもそりが合わないね〜」


大盾を構え、彼の挙動に全集中を注ぐ。


電気プラズマ散弾スプレッド追尾弾ホーミング


彼の右手が光る。紫電が暴れるように溢れ出すが、彼はそれを手元に集めて球体を生み出す。


電光射手シューティング・プラズマ


光は分裂すると、電となってこちらに向かって来る。広範囲の攻撃に備えスノーさんに近づき大盾を構え直すと、散らばっていた電が全てボクの盾に向かって方向を変えていく。


拡散追尾弾シューティングのイイところはさ〜。複数の弾を操作して一箇所に絞れるとこだと思うんだよねー、俺は」


大盾の正面で受けることはできたが、一点に集中された拡散追尾弾シューティングがこれほどの威力だとは思いもしなかった。まるで貫通弾レーザー爆裂弾ブラストを受けているかのように錯覚する。


煙幕罠スモークトラップ


左手で掴んだ球体を地面に叩きつけ、相手の視界を奪う。


「スノーさん、合図をするまで少し離れててください」


「わ、わかりました」


今回のボクの役目はスノーさんを逃がすこと。でも、持久戦に持ち込めばボクのほうが先にMPが尽きるだろうし、足止めは難しいだろう。

ならボクがとるべき方法は……、


「コード[Blade of trust]アンロック」


鞘と鍔の間から刃の光が漏れる。

ボクのとるべき方法は、迅速に彼を倒すこと。だが問題は……理性が薄くなったボクがどうやって倒すかだ。


「なになに、煙幕なんか出しちゃってさ〜こんなので時間稼ぎのつもり、なのかな?」


彼は見るからに搦手を得意とするタイプ。今のボクですら勝てないのだ、理性なしでは不可能に近い。


「おーい、ねえーってば〜」


それでも攻撃に転じなければ彼を倒すこともできない。


「無視するのはよくないよ、茶髪ちゃん。俺は虫じゃないんだから。うーん……今のあんまし面白くなかったなー」


ここは一か八か……。

決意をもって長刀を抜こうとした時、


「そういやさ」


一瞬、誰のものか分からない程に低い声が通路に響く。場の空気ががらりと変わり、ゾワッと背筋に悪寒を感じる。


「俺さー、さっきの言葉さー、どっかで聞いたと思ったんだよねー。どこだったけかな〜」


一体なんの話をしているのかボクにはさっぱり分からない。だけど、さっきのプレッシャーすら感じた言葉が「何かあるんじゃないか」とボクの不安を煽る。


「そうだ、思い出したよ。さっきのは茶髪ちゃんたちを見てた時のやつだったね、いやー懐かしいな〜。確かアレだよね、よくアニメなんかで見る剣からビームが出るやつみたいなの……だったよねえ?」


彼はあのスキルを知っている? でも、どうして……。

あのスキルを使ったのは、初めてユウキさんと共闘した時と大会の二回きりのはず。

両方とも周囲に気配はなかったし、大会の時は隠蔽シャドウも使っていた。


「なのに、どうして……?」


いや、今はそんなことよりも倒すことに専念するべきだ。勝つことができれば、問い詰めることもできるだろう。

そう結論を出し、刀を抜く手に力を入れる。

すると、彼は一際大きな声で話す。


「でもさーあんなの使ったら……このビル? のここより上の階、間違いなく崩れちゃうよね!」


これがボクの攻撃を封じる為の言葉だとすぐに理解した。だけど、彼の言葉が図星なのも事実であり、刀を抜いてしまえば自制心も効かずに技を使うのが目に見えている。


「だよね、茶髪ちゃん?」


急に走るような音が通路に響く。煙幕を走り抜け、突如として彼は現れる。


電気プラズマ


彼の手から放たれた紫電が、ボクの体を巡っていく。


「い、ぅ……」


「あーあ、ま〜たおんなじ手に引っかかったね、茶髪ちゃん」


自身のステータスバーの隣に「麻痺」のアイコンが表示される。肘をぶつけた時のような痺れが全身にあり、頑張っても指を動かすのが精一杯だ。


「俺ね、足音消すの得意なんだよ」


彼は満面の笑みで歩み寄ってくる。


ボクが彼の言葉を警戒して悩んでいた時間、それこそが彼の狙いだったんだ。

まんまと罠に嵌ってしまった自分が不甲斐ない。


「スノーさん、逃げて!」


その言葉を発すると、人の走る音が床を伝って聞こえてくる。


「追いかけっこする時間は……ちょっと無さそう、仕方ないか」


ボクがもう少し強ければ、時間を稼ぐことができただろう。さらに強ければ彼を倒せただろう。

ボクがもう少し判断が早ければ、ギルドを半壊させるとしても彼女を守れただろう。


追尾弾ホーミング


彼の手に球体が生み出されたその時、爆発の轟音と共に建物が揺れ動く。


「今のは、師匠か……?」


足元が揺らぎ、彼は攻撃を中止してしゃがみ込み動かなくなる。どうやらメニューを操作して状況把握を行なっているようだ。

この時間で麻痺が解けてくれると嬉しいけど、そんな都合良くはいかず。


「マジメに早くしないとヤバいな。でも、スタン解けたら面倒だし……」


彼の標的がボクに変わり再び攻撃に移る瞬間、ボクの視線は窓の外に向いていた。

そこには左手から鎖状チェーンを出し、こちらに向かってくる一人の人物。


『パニッシャー』


「な!?」


窓を割り、入ってきた人物は続けざまに剣を振るうが、Lokiは容易に躱し距離を取る。


「遅れてごめん。でも、今回は間に合って良かった」


銀髪の少年はボクを庇うように立ち、白銀の剣を構えた。

あと二回ほどで完結する予定ですので最後まで何卒よろしくお願いします。



ご意見ご感想お待ちしております。


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