EXP.134 貴方が落としたのは、この赤い槍ですか? それとも、この呆けている少女ですか?
少し遅れてしまい申し訳ない。
【レイド視点】ポイントC
光が降り注ぎ、防壁で防いでいても衝撃が伝わってくる。
「まさか……これを使わねばいけないとはな」
ケルベロスに内蔵されているMPを全て消費する大技。攻守共に強力だが、その後は自身のMPしか使えない欠点を持つ。
「だが、これでオレの勝ちだな」
そんな事を考えていると、大きな音を立てながら建物が崩れてくる。物量で押し潰そうとでも考えたか。
「だが、無駄だ」
オレを倒したところで現状は変わらん。
その上、貫通弾ですら貫通できない強力な防壁を貼っているオレにダメージを与える事、そもそもその場を動く事すら不可能だろう。
落ちてくる瓦礫を見上げると、赤い何かが輝いている。凝視すると恋の奴隷に遠くから声をかけていた男だった。
「喰らいやがれっ!」
男が手にしていた真っ赤な槍が周囲の光を飲み込むほど輝いている。
だが、問題はそれよりも……。
「何故、奴には貫通弾が当たらんのだ……」
降り注いでいる貫通弾が男に向かっていく。にも関わらず奴がダメージを負っている様子はない。
「一体なにが!?」
紅い光が落下してくる。
防壁を解いたところで逃げる事は不可能だろう。
やはり挑発に乗ってしまったのが……敗因か。
『ゲイ・ジャルグ』
辺り一帯を赤が包み込んでいった。
…
【レーン視点】
「鬼丸と、翁まで……そろそろ私も」
味方の損傷を確認。自身の戦線への介入をすべく屋根の上で立ち上がる。
「やっと、見つけたぁ……」
声をかけられた。見ると屋根をよじ登っている少女と目が合う。少女、と言っても侍みたいな格好をしていて、
「かっこいい」
「え、わかる? 私もコレ気に入っててさ」
「つじきり」
目の前の少女とは違う声。そちらも少女で、スレンダーな感じ。
「相手の口車に乗せられてる」
「nekoは本当、冗談とか通じないよな……。私の弟子でももう少しマシな」
「弟子自慢なら負けない」
急に二人で話し始める。私は居ない方が良いかな。
屋根から降りようとすると、二人の会話が終わる。
「お宅にも話があるんだけど」
「何?」
「早めに帰って欲しいかな〜なんて」
二人とも刀や短剣を手にしている。こちらも腰の剣を抜刀する。
「それは無理、な相談」
「あっそ、言ってみただけだから気にしなくて良いよ」
「わかった」
ここで私が足止めされるのは痛いが、この二人に他の戦線へ参加されるのも不味い。
「なら実力行使になっちゃうけど……」
「問題ない」
彼女は刀を構えた。
『一閃』
斬撃を剣で防いだけど、吹き飛ばされた。
私は屋根から落ちた。
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