EXP.130 一本の赤い薔薇
遅れてすいません。
最近忙しく更新が遅れてしまい、申し訳ありません。
【ソーマ視点】ポイントA
ギルドを攻撃した飛来物、その方角や速度から敵の潜む建物を特定した所までは良かった。
「くそ、何がいけなかったんだ」
しかし、槍は手の届かぬ所、身動きは取れず、味方は二人とも退場……。そのうえ眼前には、ロボットみたいな武装兵器を背景に立つ女。
「貴方という存在自体がいけなかったのよ」
そして、見るからにやばそうな奴。
目が痛くなるような真っ赤なドリルツインに紫色の口紅が際立つ白い肌、黒と黄色のオッドアイズ。長身の細い身体に黒装束を纏っている。
「貴方が悪いよ。貴方がいるだけで空気を吸うのが辛くなるわ」
これだけなら普通だ、顔も……まあ、良いし。でも駄目なんだ……コイツは一線を超えてヤバい。
「はあ、だんだん頭がくらくらしてきた。もう意識を失いそうよ……」
「そのままくたばっちまえ」
ヤバいのは言動ではない。いや、確かにそれもヤバいけど……。
「もう、我慢できない……。貴方の命は『わ・た・し』が貰うわね」
「お前、何言ってんの!? ゲームでもやって良いことと駄目なことがあんだろうがっ、あと『わたし』を強調すんな!」
何よりヤバいのは、
「そんな、顔に似合わない物を持ってる方が悪いのよっ」
声が超重低音……つまり中身は男、即ちネカマ! だが、VRゲームである以上異なる性別のアバターにはなれない。
「この変態がっ、近づくんじゃねえ!」
そこで彼らは考える。どうすればネカマが出来るかと……その結果が金を積むことだった。理由は物凄くシンプルで、課金をすればアバターの再構成・作成が可能だから……らしい。
「もう、良い罵倒をするじゃない」
「何この人、SかMかはっきりしてほしい……」
「わたしは、どっちもいける口よ」
そして今、オレは貞操の危機に陥っていた。
足をバタつかせて抵抗しようにも膝より先が無い。
あの女、なんか鋏みたいなの持ってるし……万事休すだな。
「あ、自己紹介がまだだったわね。わたしはロズレッタ。貴方を愛し、幸せにすると誓いましょう」
「愛の告白は要らないから、とっとと消えてくれ」
「私も激しく同意……」
あれ、AIRAの声がしたような? 気のせいだろうか。
「気のせいじゃないよ……」
声のする方を見ると、ガラスの割れた窓枠からAIRAが入って来る。本人は平然としているが、少し破損している装備品が受けたダメージを物語っていた。
「ソーマは渡さない……」
「ふぅん、彼、ソーマって言うのね」
横目でオレの体を舐め回すように見る変態。アイコンタクトでAIRAに助けを求めると、頷き返される。
これで助かった……。
「ソーマは違う……」
アレ、AIRAさん?
「あら、違うの?」
「ソーマは……お酒……」
「お酒?」
淡々と嘘を吐くAIRAの言葉に説明を求めるようにこちらを見る変態、対するAIRAは上手くいったとばかりに右手の親指を立てている。
頷き返したから伝わったのかと思ったのに…………裏切られた気分だ。しかし、これは相手の意表をつくチャンス。全てはオレのアドリブに任された。
「ああ、先日オレが見つけたかなりレアなアイテムの事だ。そいつがどうしても飲みたいって言うから、ある条件を付けたんだ」
「条件?」
「オレが隠した酒を見つける事が出来たら飲ませてやるってな」
良い感じに相手の意識を逸らしている。今のうちにAIRAが撃てば……、
「何処に隠したの……」
と思っていたが、オレの思い通りになんて行かず。
「そのお酒の場所が分かれば、彼は要らないということで良いのかしら?」
「酒の在り処さえ分かれば、用なし……。煮るなり焼くなり好きにするといい……」
AIRAさん、もちろん冗談だよね? 俺のライフはもうゼロだよ。
AIRAは演技のスイッチが入ってしまったらしく、オレを見捨てる様な発言を連発する。
「なら貴方が早く言えば済む話ね。お酒は何処にあるのかしら? あまり喋らない様なら先程の続きとして……」
ナイフ……いや、包丁に近い刃物を持ち出す変態。
どっちにしろコイツはオレの敵に回るようだ。
「やれるもんならやってみろよ。ま、アンタじゃ無理だと思うぜ。おっさん?」
ならば仕方ない。相手をその気にさせるまでだ。
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