EXP.125 また一つ
【栗キン視点】ポイントC
目を開くと視界目一杯に砂埃が舞い上がっていた。それだけ確認すると、目を瞑りうつ伏せの状態になる。
「痛えぇ、ってことは生きてる……のか。俺ってば、やっぱりラッキーだな」
爆裂弾に吹き飛ばされた際に頭を打ったのか、何故か意識が朦朧とするな……。
自身の置かれた状況を把握し終えた俺は目を開き、周囲に人影が無いかを探す。
「今のは、少し痛かったぞ!」
大きな笑い声が聞こえる方向から風が吹き、少しずつ視界が晴れていく。
どうやら俺は少し離れた物陰にいるらしく相手の死角に位置しているようだ。
「ちっ、言うほど大したダメージじゃねぇだろ……」
大男の足元には瀕死寸前のトーマが倒れ伏しており、彼の言葉通り大男にとって先程の爆裂弾は擦り傷程度でしかないだろう。
「おお、生きていたか! では仕留めさせてもらうとしよう」
大男の右手がトーマに向けられる。
即座にトーマを助けたいと身体が動く。
だが、これは罠だ。
見失った俺や狙撃手二人の位置を探る為にトーマを餌に誘っている。
それにこの位置から強襲した場合、こちらの攻撃は防がれた上でかっこうの的にされるのがオチだ。
となると、あとは二人が攻撃するタイミングに合わせるしかない。
「クソ、なんで繋がんねえんだ。本部にも通信できねえし……」
いつでも動けるようにクラウチングスタートの様な態勢をとる。
「仲間より自身の安全を優先するか……。まあ、それも一つの戦術だな」
大男が呟くと同時に右手の力が解放され複数の円柱に収束されていく。
「さらばだ」
円柱が放たれる寸前で一筋の光が大男に向かっていき、当然のように防がれてしまう。
「そこかっ!」
大男は貫通弾の射線に向けて左腕を伸ばす。
右手同様に手の甲に石が嵌められているが色は異なり青く輝いている。光は一箇所に集まり円錐形へと形成され、飛び立つ。
貫通弾と同等の速度を誇る円錐は、寺戸が居るであろう建物に直撃すると爆裂弾のように爆発し建物を吹き飛ばした。
…
【カレン視点】ギルド・地下一階
「あーもう、なんで弾が効かないの?」
そんな事をぼやくのは、赤毛のセミロングに白と黒を基調とした制服、両手に握られた二丁の黒一色の拳銃が似合う美少女ーー茜だ。
「怒っていても可愛いな、茜は」
美少女と言ったが、もう純粋に可愛い。
アイドルなんかにも負けて劣らない顔立ちで守ってあげたくなるオーラを放っている為、私が男だったら猛烈にアプローチ(今はしていないと言っていない)していた事だろう。
ただ、
「アンタ、こんな時に何キモいこと言ってんの? 頭どうかしちゃってるの? まあ、そんな事は知っているから聞くだけ無駄だったわね。謝っておくわ」
性格に難ありと言ったところだが、外見と内面のギャップがまた良いのだ。
「アンタ……今、なんか変なこと考えてるでしょ。キモいからやめてくんない」
勘が鋭いな。
「可愛いから可愛いと言ってるだけだろう?」
「アンタって、もしかしなくても百合とかいうヤツなの? ちょっと引くんですけど……」
「オイッ、オレは女の無駄話を聞く趣味は無ェんだ。だからサッサと退けや」
傲慢な態度で黒装束に身を包む緑髪の痩せた男。
液状化する肉体には銃弾も光矢も効かない。恐らく剣なんかの物理攻撃も同じだろう。
「これだからOS持ちは……」
「性格に問題がある奴ばかりだな」
そんな私達の話を聞いてキレたらしく男の足下から紫色の液体が広がっていく。
「チッ、さっきから聞いてりゃァ、調子こいた事ほざきやがって……雑魚は雑魚らしくひれ伏しときゃァ良いんだよォッ!」
男が声を荒げると同時に液体が私達に襲い掛かった。
遅くなってしまい申し訳ないです。
次回もこれくらいになってしまうかもしれませんが成るべく急ぎますのでお許しください。
ご意見ご感想お待ちしております。




