EXP.124 銃声
【滋賀 視点】ポイントF
現在。
近くにあった建物内に逃げ込んでいる訳だが、戦況を確認してみよう。
ウチは三分の一ほどダメージを負っており、日猿は左腕を失い、チクワに関しては私たち二人を庇って脱落。
あちらさんはノーダメージ。しかも能力不明のLWと思しき杖を装備している。
これらの状況から導き出される結論は……、
詰んだ。
マジで絶体絶命の大ピンチ!
あのオッサン強すぎでしょ!?
「滋賀さん、逃げますか?」
そんな警告でいっぱいな頭のウチに部下の日猿が問いを投げかけてくる。
「出来るんならそれが良いんだけど……恐らく狙い打ちされるだろうな」
とはいえ、相手の能力も不明である以上ここも安全地帯とは言えないのだが……。
「とりま、オッサンの位置を把握しーー」
「ほっほっほっ、次の手はどうなされるお心算ですかな?」
「マジかよっ!?」
建物の壁が切られ、断面を滑り落ちていく。
その先、恐らく黒装束の魔装飾の効果で浮遊するオッサン。
「チッ、日猿、備えろ」
「え、あ」
左手の散弾銃を足下に向けて引き金を引く。当然ながら散弾に撃ち抜かれた床は吹き飛び、ウチと日猿は下の階に落ちる。
「痛てて……次は?」
「裏側を開けるから左右に別れるぞ」
「わかりました。俺は左に行きます」
短い会話を終了させて壁を撃ち抜き走り出す。
「いやはや……中々の奇策ですな」
「……の割にはお見通しかよ?」
「三度目にもなって気付かないというのは、ただの阿呆ではありませんかな?」
このオッサン相手に逃げる方法はこれしかない。マンホールまで逃げ切ればワンチあるが……オペレーター無しでは難しいだろう。
とりあえず今は自身に注意を惹きつけ日猿を逃す。
「なら、喰らえっ!」
「女性がその様な言葉を使うのは余りよろしくないと思いますぞ」
「うっせー!?」
散弾をばら撒くが、何かのエフェクトに弾かれて建物を破壊していく。そんな中オッサンが杖を構える姿を目にし、自分のLOSTを覚悟する。
その時、
『パニッシャー』
オッサンの左側にあった建物が散弾によって崩れていく。その中に潜んでいた日猿がタイミングよく飛び出し、放った剣がオッサンを捉える。
しかし、
「実にーー」
オッサンの左手には変わらず黒塗りの杖が、そして右手には白く発光する仕込み刀があり、日猿の一撃を防いでいた。
「惜しかった……」
その一言と共に日猿は切られLOSTする。
「クソがーっ!」
怒りに任せ乱射するが、全てエフェクトに弾かれてしまう。
「あと一歩で貴方方は私に勝てたでしょうに……実に惜しかった」
「ウルセーッ!!」
ついに弾が尽き、オッサンが地に降り立ち歩み寄ってくる。
間合いに入ったら散弾銃で殴ろうと考えていた時、見知った声がする。
「おい、爺さん。こんな女の子相手に大人気ないぜ?」
「そこを突かれては反論の余地がありませんな……」
黒シャツに青のジャージとジーパン、右手に握られた漆黒の片手長剣、目を惹く銀髪の人物。
「楓月……」
「ん? よく見たらお前、滋賀じゃねぇか。あ、礼はいいぜ。俺は正義の味方だからな!」
「はいはい、死ぬなよ」
ふざけた態度を取っているが実力は認めている為、これ以上の口出しは無駄だろう。
「もう宜しいのですかな?」
「ああ。……ただ、久しぶりだから爺さんをガッカリさせちまうかもしれないけど許してほしい」
「この様な老体に気など使わない方が良いですぞ」
互いに冗談と微笑を交えて剣を構える。
「行くぜ、爺さん。『黒嵐』起動」
「ほっほっほっ、『大時計』」
今、二つのLWの激闘が幕を開けた。
ギリギリ間に合いました。
次回も間に合うよう頑張ります……。
ご意見ご感想お待ちしております。




