EXP.121 黒は悪魔のイメージが強い
【トーマ視点】ポイントC
「おい、栗。どうなってやがる!」
「耳元で大声出さないでくれ!」
「どうしたのだっ、逃げるだけか!」
「「うるせー!!」」
事態は最悪だ。到着したら急に敵に攻撃され、栗と一緒に逃げ回っている。しかも敵と思しき男は……、
「それにしても、飛ぶ技術があるなんて……他種族の技術は凄いな」
「感心してる場合か、この馬鹿栗っ!」
そう飛んでいるのである。跳躍や飛翔による一時的な飛行や高速移動ではなく、背がジェットパックの様になっており継続的に飛行している。
「戦闘中に仲間割れとは、感心せんな……」
「お前のせいだろぉが!」
「トーマ、あんまり人のせいにするのは良くないと思うぞ」
「黙ってろ」
二人では状況を打破するには人手や戦力的にも難しい。戦力があと三人と囮が一人は欲しいものだ。
「おい、馬鹿栗。お前んとこの部下はどうした?」
「ん、あ、ああ……LOSTしちまった。だが、お陰で敵さんの技を見れた」
「それは出来したな……」
二人もLOSTしたのは痛手だが情報の価値次第では大きな貢献になるだろう。
「敵の情報を」と聞く為に口を開いた時、大男の良く通る馬鹿でかい声がした。
「そろそろ鬼ごっこは終わりにしようではないかっ!」
「来るぞ、避けろっ」
馬鹿栗の言葉を聞き振り返ると大男が右の掌を此方に向けている。手の甲に嵌められた赤石がエネルギーを開放し、手元に複数の細長い円柱を出現させる。
馬鹿栗は避けろと言うが、弾自体は然程大きくなく範囲も散弾程しかない。この程度の攻撃ならば俺は防ぎ切れる。
「防壁」
抜刀と同時に防壁を展開し右後方に飛ぶ。
「馬鹿っ!」
馬鹿はお前だろ。
そんな事を思った瞬間、左下半身と脇腹を削られた。
「つっ」
ゲームの設定上、痛みは軽減されているのだが……例えるなら足の小指を何かにぶつけた時の痛みやがダメージを負った部位に継続的にくる感じだ。因みに急所の部位は爪が剥がれる時の痛みである。
「さらばだ、三人目の戦士よ」
再び右手からエネルギーが溢れ出す。愛用の刀を左下段に構えるが敵の方が速く、防ぐことも避けることも不可能という絶体絶命の状態。
「まだまだーっ」
そこへ一人の男が吠えながら構えた銃の引き金を引き放たれた追尾弾、大男は右前方から迫る銃弾を迎撃するのか翳していた右腕を馬鹿栗に向ける。しかし追尾弾は大男に触れるどころか五メートルほど離れた場所で消失、よく見ると大男を中心に巨大な防壁が張られていた。
「共を守ろうとする。その心意気は素晴らしかったが……力不足では話にならんな」
「くそっ……」
「確かにな」
大男は馬鹿栗に力の方向を定めているが俺からも注意を外さない為、不意打ちも出来そうにない。というか地味に俺も範囲に入ってる気がする。
「ーーもし、二人なら……な」
再び奴の右手が赤く染まり誰もが諦めた瞬間。一筋の光が大男の脳天を目指し、飛ぶ。
「伏兵……かなり腕の良い狙撃手のようだな。だが、対策を用意するのは当然の理!」
脳天を狙った貫通弾は広い範囲を守備していた防壁を撃ち抜いたが、それによって感知されてしまい二枚目の凝縮した防壁に防がれてしまう。
「不意打ちも効かねえのかよ……『一閃』」
それでも俺は至近距離から斬撃を放ち、馬鹿栗もタイミングを合わせて引き金を引く。
「なかなかの連携だな、そうでなくてはな、これでこそ闘いだな!」
二つの防壁で同時攻撃を防ぎ切り、笑う大男に舌打ちしながら周囲に指示を出す。
「防壁。馬鹿栗、当たるなよ」
「……な、まっ!?」
「やれ、雨乞!」
その一言で、少女がトリガーを引く。放たれた弾が広範囲の防壁に触れ破裂した。
今月はもう少し進めたかったんですが……これが限界でした。
来月、更新できないかもしれません。
頑張りはします。予定では……。
ご意見ご感想お待ちしております。




