EXP.116 アラーム・ベル
それは警鐘と例える事を誰もが否定しないアラーム音、店の外に出ても変わらぬ音量を放っている。
「な、何ですか!?」
「これは一体……どうしたんですか!?」
何も知らず慌てる僕と林に落ち着くように宥めるマキナさん。
「これは他国の敵襲を報せる物だよ。生産者の者は捕獲されない様にシェルターへ逃げろっという合図さ」
「ログアウトしようにもシェルターまで行かないといけねえが……お前らは戦闘員だ。シアはヤスイん所にいるだろうから安全だ、あとは自分達で決めろ」
「私としては君と一緒にシェルターへ逃げて……そうだな、お茶でもしたいところだがね」
二人の説明を受け、林に視線で合図を送るとキッチンの方へ消えて行く。
「マキナさんの冗談は置いといて……取り敢えずギルドに行こうと思います。シアさん探すのもありますけど、何か手伝えるかもしれませんから」
「そうだな、それがいいと思うぞ」
「真面目な話をしたつもりなんだが……」
会話を済ませると裏から着替えた終えた林が出てきたので、二人に礼と別れを伝え林と共に店を後にするのであった。
…
アラームが鳴り続ける街中で人波を掻き分けギルドに到着すると従業員一同による避難誘導が行われており、その中から一人の人物を探し出す。
「リンゴさーん」
「え、ユウキさん!? 何してるんですか、早く避難してください!」
「いや、何か手伝おうかと思ったんですが……。あ、シアさん知りませんか?」
首を傾げ悩む仕草のリンゴさんを待つ。
「ヤスイさんとご一緒に避難してらっしゃると思いますが……」
「ありがとうございます。行こう林」
「はい」
リンゴさんに礼を告げギルド内へ走り出す。人混みを抜け辿り着いたエレベーターは起動しておらず移動手段に悩んでいると、
「エレベーターは使えませんよ。現在ホワイトワールドは防衛状態に入りましたから非常用階段しか使えませんよ」
リンゴさんに階段入り口の扉まで案内され頭を下げる。
「此方です。本当は逃げて欲しいんですけどね」
「また今度……取りに行かせてもらいます」
「何も言わなくても分かるなんて、流石ユウキさんですね」
笑顔のリンゴさんに苦笑しながら今度こそ別れを告げ扉を開き、最上階を目指して最初の一段に足を掛けた。
…
【シア視点】
窓越しから街の全貌が見えるギルド最上階にて、
「それで……今日は何の用だい? 私はこう見えて忙しいんだよ」
「一人の少年を追い回している君が、忙しいなんて、面白い冗談だね。なに、ちょっとした相談相手として読んだだけさ」
「とことん私の癇に触るな、君は」
私はゲーム内で最も長い付き合いでありながら、人生で最も大っ嫌いな男ーーヤスイに呼び出した理由を質問していた。余談だが、ゲーム内でも人生でも最も好きなのはユウキ君だ。
「最近の君の行動を見てると、ヤンデレの素質があると僕は思うんだが……君はどう思うかね?」
「主観的にはノーだけど客観的には少し控えようと思います」
「それが良いと僕も思うよ」
嫌いではあるが長い付き合い、故に本音を言える中でもあったりする。
「さて、冗談はこれくらいにして……私と少し話そう。シア」
「何についてだい?」
一人称が僕から私に変わったのでギルド又はホワイトワールドに関わる事を相談するつもりなのだろう。
「これから敵が攻めてくる、防衛の指揮を執って欲しい」
「え、嫌に決まってるじゃないか。それは君の仕事だろ、人に押し付けるんじゃないよ」
「今回は総合二位の魚人だ、偵察の内容を見る限り負けてしまうだろう」
片目を瞑り顎に手を当てるヤスイ。彼が悩む時のクセだ、それ程に今回は強い相手らしい。
「それなら指揮官がいるだろう。彼に頼んではどうだい?」
「今回は彼が最終防衛ラインなんだ……だから頼む、シア」
頭を下げるヤスイを眺め、何と口にしようか悩む最中に……強烈な音が鳴り始めた。
今月は頑張って週投稿しようと思っております。出来なかった場合は申し訳ありません。
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