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主人公にも安息を  作者: マト4
BW乱戦編
113/141

EXP.113 時雨のムラサメ

眼前を双刃刀が通り過ぎる、その隙に剣を突き出すも盾で逸らされる。その勢いのまま身体を捻り左腕の盾で脇腹に裏拳を叩き込み距離を置く。


「くっ……中々やるな、腕を上げたか?」


「まだまだですよ、飛翔エリアル


風で加速し剣を振り抜くと双刃刀と鍔迫り合いになるが、


加速発射スラスター


発射された双刃刀と共に吹き飛ばされる。その隙に間合いを詰めるアルトニアさん、左手に握った盾を双刃刀に変え突きを繰り出す。盾で受け止めカウンターを狙うが既に生成された右手の双刃刀に腹部を切り裂かれてしまう。


『ユウキ LOST 4ー6 勝者 アルトニア』



「やっぱり強いですね、アルトニアさん……」


「そりゃあ、やってる時間が違うからな。それでも俺はお前に負けてるがな」


「戦術で勝ってるだけですよ、実力はアルトニアさんの方が全然上ですよ」


アルトニアさんと訓練場の休憩ルームで先程の模擬戦に関して話をしていた。


「いや、そんな事はない。経験値を考慮するとこんなものだ、寧ろお前が俺と同じ位やっていれば俺がボロ負けだろう」


「そんな事はないと思いますけど……」


「それほどにお前の吸収力は高いと言っているんだ、まったく……本当にお前は謙虚だな。まあ、謙虚なのは悪くない慢心を突かれることが無くなるからな、だが偶には傲慢なのも大事だぞ」


そんな名言みたいなことを言われていると、


「おや、貴様がこんな所にいるとは珍しいな」


「おお、時雨しぐれじゃないか。久しぶりだな」


時雨と呼ばれた男性は青い瞳に水色の髪で白と黒を基調とした制服に身を包み腰に(このゲーム内でも)変わった装飾の刀を吊るしている。


「ほう……こいつがお前を負かしたと噂の奴か……」


指を顎に当てジロジロと観察してくる時雨さん。少し引きながらアルトニアさんに視線で助けを求めるが首を横に振られる。


「貴様、こんな初心者に負けるとは何事だ?」


「そいつはお前の思っている以上に、強いと思うぞ」


「ほう……ならば少年、一度手合わせしてくれないだろうか?」


腕組みをした時雨さんに頭を下げて考える猶予を貰い、少し離れた場所でアルトニアさんと密かに話をする。


「なんであんなこと言ったんですか!?」


「いや、アイツがやりたそうにしてから……アイツあんなんでツンデレだからな。それにお前の良い練習相手になるかと思ってな」


「取ってつけたみたいな理由ですね……ところで時雨さんってどんな人なんですか?」


時雨さんの方を見ながら質問する。因みに時雨さんは近くの席に座り腕と足を組んでいる。


「俺のちょっとした現実の知り合いでな。結構な金持ちで自己中心的だが、騎士道を掲げてるらしい」


「凄い人なんですね……」


そういえばカレンやAIRAもお金持ちだったよな……羨ましい。


「ああ、態度がアレだがその分影の努力を怠らなくてな。あっという間に抜かされた」


「そんなに凄いんですか?」


「文武両道を体現しているが、何より奴は運が良い。まあ、ちょっとした勉強と思って戦って来い」


運?


僕がそんな事を考えている間にアルトニアさんが話を進め、僕は時雨さんと十本勝負をする事になった。



転送先は街中。正しくギルドの外にそのまま飛ばされた様だ。白銀を抜き盾を展開する。それに合わせて時雨さんが刀の鞘に手を掛ける。


「それでは、お手並み拝見といこうか」


飛翔エリアル


一箇所集中の飛翔エリアル最大速度。すれ違いざまに首を狙い剣を振る。


だが、こんな単調な攻撃では防がれるのは当然だ。刀を抜かずに始める……つまり実力に自信があるという事、それが慢心でない限り防ぐだけじゃなくてカウンターを仕掛けてくる可能性もある。


そんな僕の葛藤を知る由もない時雨さんは声を漏らした。


「む、刀が抜けん」


直後、僕の白銀が時雨さんの首を切り裂く。


『時雨 LOST』


視界が白に染まり僅かな浮遊感、再び同じ場所に立つ。


「どうかしたんですか?」


「久々すぎて忘れていた……すまんな」


時雨さんの謝罪を受け頭を下げる僕。


村鮫むらさめ、我に力を」


その言葉を聞き入れ刀がその姿を見せるは、空を彷彿とさせる海の様に透き通った青色の刀身。


「行くぞっ」


刀に見惚れていた僕は時雨さんの一言で気を引き締めた。



現在スコアは4ー0で僕が勝っている。時雨さんは強い弱いではなく純粋に相性が良いらしい。何かの形を使うタイプの時雨さんは僕からすると最もやりやすい相手だ。


「くっ……そろそろ本気を出さねばならないようだな」


アルトニアさん曰く、厨二病だが実力はあるらしくアルトニアさんに難なく勝てるとの事。だが僕にはとても信じられずにいた。実力は本物だろうが、アルトニアさんと比べると……失礼ながら弱い。


雨降スプリンター


時雨さんは左手を翳し魔法オプションスキルを発動する。手元には土星を連想させる輪っかの付いた白い球体、輪を回転させながら少しずつ宙に上がっていく。ある地点まで到達すると何かを振りまき始め、それが頬に当たる。


「水?」


「その通りだ。……ここからは本気でいくぞ」


少し時間が経ち水溜りが出来てきた頃、先ほどまでとは違い真剣な表情の時雨さんに気圧され僕の判断が遅れた……。


今週はいつもより文字数が多いと思った方いらっしゃいますか?


正解です。本当にすいません。


私情になってしまうのですが、どうしても更新の頻度が落ちてしまうので考えた結果が一話ごとの量を増やす事にしました。


ですが、週一で二話でも更新出来ない私としては更新がいつになるか分からない訳で……。


なるべく多く更新したいのですが月一でも出来るか危うい現状です。


最後の最後でこんな状況で本当に申し訳ありません。


こんな作者ですがどうか最後まで見て頂けると嬉しいです。これからもこの作品をよろしくお願いします。



ご意見ご感想お待ちしております。


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