EXP.104 友情と成長
身を捻り一匹の足元に転がり込むも二、三箇所を軽く爪が引っ掻き鈍い痛みが伝わりHPバーが減少する。以前なら一撃で消し飛んでいたであろう事を考えると自身の成長を感じた。
そんな僕がこれからどうしようかと思考を巡らそうとした所で、一人の口から言葉が紡がれる。
「コード[Blade of trust]アンロック」
獣の唸り声や咆哮の中でその一言が聞こえたのは人狼より身の危険を感じたからだろう……。
『電光一閃・疾輝』
…
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「すいません…………」
「ごめん、カレン」
縄に縛られた僕と身動き取れない林を担ぎ走るカレン。
「はぁ……はぁ……運無いのかね、私達」
先程より逃げる速度が遅くはなったが林の一撃が効いたらしく大半の人狼は負傷し追って来ていない。
「いや、そんな事ないみたいだよ」
進行方向からは光が溢れている。出口が見えた事に僕とカレンは安堵の息を大きく吐いた。
よし、これで……。
だが、その先に広がる光景はあまりにも無慈悲だった。
大きな広場、天井から差す光は先程の結晶の特大サイズから発生していたらしい。
問題はこの広場に道が一本だけだった事だ。その道も人狼の唸り声が聞こえてくる。
「カレン、縄解いてくれない?」
「あ、ああ」
カレンは息切れを起こしている。ゲーム故に呼吸は必要ない、つまり精神的に来ている証拠だ。そんな状態でもカレンは苦笑を浮かべながら冗談を言っていた。
林も身動き取れなくなるのを覚悟の上僕を助ける為に全身全霊の力を放った。
「カレン、林をお願い。撃ち漏らしたら、ごめん」
「おい、ユウキ。一人であの数を相手にするつもりか!?」
カレンの言葉を無視し盾を展開、背から白銀を抜き一本道に向かって歩き出す。
仲間が自分の為に身を削っている。ならば自分のすべき事は言うまでもない。
暗闇から現れた人狼の群れに剣先を向け口を開く、
「ここから先は有料なんで通しませんよ」
そんな台詞と共に戦いの幕は切って落とされた。
…
一本道の通路、人狼がギリギリ通れる程の大きさ。つまり通路の前で人狼を立ち止まらせばそれ以上入って来れない。
通路から抜けた二体の人狼に近寄り意識をこちらに向けさせる。
一体目の腕が振り上げられた時点で横に飛び退き爪が地面に腕が突き刺さる。避けた先に二体目の振り下ろされた爪を剣で去なし、二体目の足下にタックルをぶつけ体勢を崩す。倒れた隙を見逃さず足首と両眼を切り裂く、すると人狼は断末魔の様に一際大きく吠え唸り声を出す。
これで一匹無力化した……。
腕を抜いた人狼が此方に向かって走り出す、位置取りを確認して剣を構え直した。
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