EXP.102 僕と縄と欠片の友情
茂みに隠れて作戦会議を始める僕達。
「やっぱり帰ろうか」
「だから言っただろ、ロクな事が起きないんだから行かない方が良いって」
「お二人共、帰るの前提で話を進めるのはどうかと思うんですけど……」
始めて来たステージつまりは人狼[ブラック・ヴィルコラク]がいるという事だ。
「そもそも今回の目的はダンジョンからレアアイテムを取ってくるだけなんですし戦闘を避ければ良いのでは?」
「そ、そうかその手があったか」
それなら人狼と出くわしても逃げれば良いだけの話だ。
するとカレンが怠そうに口を開く。
「でも、さっき見せてもらったマップの位置だと『黒き洞窟』だぞ。生きて帰って来られるか……」
「え、カレン行った事あるの?」
そんな僕の質問にカレンは苦笑しながら答える。
「……まあ、昔……第0の皆さんに特訓で連れて行かれてさ。奇跡的に帰れたよ」
なんて非道な人達なんだろう……。
「でも昔よりお強いんじゃないんですか?」
「確かに以前に比べたら技量も経験もあるけど……。正直第1の面子でも帰っては来れるだろうが採って来れるかはわからないな」
「カレンがそこまで言うとなると……」
かなり難しい依頼だった様だ。まあ、リンゴさんの性格を考慮すると僕に仕返しがしたいだろうし。
僕が思案に耽っている内に二人は話を進める。
「逃げるだけでもダメなんですか?」
「あそこにいるモンスターは数も多く好戦的で鼻が良いときてる」
カレンがお手上げのポーズを取りながら溜息を吐く。
「逃げるのも大変そうですね、そんなに多くの種類のモンスターがいるんですか?」
「いや、生息してるのは二種類くらいなんだけどさ……通常種とリーダー格が一匹って所」
「それって何て言うモンスターなんですか?」
仕方がないので行く事にしよう。いっそレアアイテムを持ち帰って見返してやる位が良いかもしれない。
「よし、行こ」
「確か……[ブラック・ヴィルコラク]とか言うモンスターだな」
「_うか……」
僕は走り出した、二人から逃げるために。
…
「話せばわかるよ、だから先ずは縄を解くとこから始めよう」
「ユウキさん、往生際が悪いですよ」
僕は何故か縄で縛られ引き摺られていた。
おかしい、何より一番の疑問はペースが遅いとは言え、縛った僕とカレンを引き摺っている林の筋力値だ。
「わかったよ、諦めるから離してくれ」
「わかりました」
カレンが降参し拘束を外され僕の縄を引く。
そうか、その手があったか。
「僕も諦めるから離」
「ダメです」
「待って林、返答が早すぎるよ。僕の事疑い過ぎじゃない?」
林は小首を傾げながら口を開く。
「ユウキさんは半分くらい疑って丁度いいと思ってたんですけど」
僕には友情という物がよく分かりません。
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