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あと5分。
あと5分稼げればこの戦況がひっくり返る。
あと5分保たせるために私たちが今できることを為さなければ…
何ができる?
…ひとつだけある。
女神様から忠告を頂いたあの日、女神様は私たちに力をくださった。
穢れた私たちとは相反する聖なる力。
それを使えば私たちの身は滅びるであろう。
あの爆発からも耐えられる頑丈な体であろうと、何百年も彷徨い続けたこの存在であろうとも。
「結局、あなたの言うとおりになるんじゃないですか。我が王よ」
「お前たち何をしているの?」
ただならぬ気配を感じたのかお嬢様が私たちに声をかける。
「今までお側でお仕えできたことを嬉しく思います。我ら9名、礼を申し上げます」
「ねえ…何してるの…よ…」
「私たちがいなくても生きていける強さを、人を惹きつける魅力を貴女様は持っています。だから、だから…幸せに生きてくださいね」
「…ええ」
伸ばされた手をぎゅっと握り、手放す。
初めて会ったあの日も薄気味の悪い三日月が笑っていました。あの日はうってつけの月だなと思っていましたが、今となっては悔しいですね…
お嬢様に映えるのは大きな満月だというのに、それを見れずに終わってしまうのは。
体内に宿る相反する力をわける。
まずは、邪悪な方を。
アレには遠く及ばなくとも、数百年溜めてきた怨念が宿っている。
僅かな月明かりすら呑み込む闇をぶつけ、相手に隙を作る。
今だ。
女神様が私たちにくださった力を全力でぶつける。
身が灼かれ、水分が抜かれ、吐き気がする。
今すぐ水が欲しい。
水を浴びて、飲んでこの渇きをどうにかしたい。
だけど、それはできない。
愛するお嬢様のためにこの身を捧げる。
私たちの総意で決めたこと。
喉の渇きの後は飢餓が襲ってきた。
この体になってから感じることがなかった飢餓感に悶え苦しむ。
息ができなくなり、空気を探す。
そんなものはないのに。
体の中心が熱くなるのに、末端は冷えていく。
ひとり、またひとりと私たちが消えていく。
ああ、もう私だけだ。
あーあ。ほんと禄でもない人生だった。




