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朽ちぬ女王  作者: 水無適
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12月20日、午前11時。

アルス国侵攻開始。


「始まったわね」


「あの者の足止めはできていますか?」


「人は送ったわ。だけど、どうなっているかはわからない」


「そうですか…不安は残りますが、私たちも準備をしなければいけませんね」


「そうね」


お嬢様は騎士の服に袖を通した。

いつもと違う凛々しい姿を見れて私たちは大満足です…とこのような状況でなければ手放しに喜べましたが。


「足止めが失敗した場合、このクーデターは失敗したも同然よ」


「精鋭を送ったのでしょう?」


「ええ」


「ならば彼らを信じて待つというのも統治者のあるべき姿かと」


「そうね」


成功するかどうかは五分五分でしょうか。

必ずやり遂げてくださいね、ギル。

本来ならば護衛騎士がお側を離れることは許されませんが、今回は特例ということでお嬢様が直接ご命令になられたのです。

期待に見合う活躍を願っていますよ。





「アルスが動き始めた。我々も行動を開始する」


「はっ!」


「解析班は新兵器の入れ物のシステムの構造を改変し、なるべく長く時間を稼げ!」


「はっ!」


「他の者たちで彼らを護るのだ。我々が要であることを忘れるなよ」


「はっ!」


ギルは不安になっていた。

カリスタの側から離れることを、カトリーヌ家の梟としてこれまでにない重要な任務を負わされていることを。

指揮官として焦りや不安を見せてはいけないと気持ちをしっかりと保とうと必死になっていた。


6時間後。

攻撃が止んだのを区切りに兵器の発進準備が始まった。

こちらがシステム構築を乱したおかげで発進することはなかった。

が、相手は魔法なしで世界と肩を並べたアルス。

破られるのも時間の問題だろう。


4時間後。

「こちらでも逐次壁を作ってはいますが、あともう少しで超えられますっ!」


解析班から時間切れの宣言がされた。


「物理攻撃に移る。護衛を10人残して、残りはエネルギーの供給源絶て」


そして、自らも戦闘体制に入る。


(あと3時間7分…)


「敵襲です!」


「向かい撃つ!」


続々と現れる兵士を斬り倒して行く。

しばらくすると敵は撤退したが、居場所がバレた以上長居はできない。

通信具で破壊に向かった兵士に連絡を取る。


「目標は?」


返事がない。


「聞こえるか?!応答せよ!!」


ノイズが走る。

応答だ。


『悪いけど、全員殺したよ』


背中を這うような声色。

一瞬で誰なのかを理解した。


「突破された!撤退だ…」


「はいっ!」


爆弾を仕掛けその場を離れる。

作戦は失敗した。





発進予定時刻から10時間がすぎた。


(そろそろプログラムの書き換えの修正が終わるらしいけど、ここらで仕掛けてくる気がするんだよな…)


カタッと物音がする。


「ほら来た」


ネレウスは金属パイプを投げ1人失神させる。

ゆっくりと近づき、ひとりひとり丁寧に潰して回る。


「あ」


(しまった…主電源に繋がれたケーブルが切られてしまった。あーあ、こりゃあ1時間くらいかかりそうだなあ…)


周りを眺めていると死体の耳になにやら魔道具らしきものがついていた。

耳に当たると声が聞こえる。


『応答せよ!作戦は?!』


切迫した声に思わず笑ってしまった。


(なんだ、これが本命だったんだ)


だから、僕は返答をした。


「悪いけど、全員殺したよ」


軽い舌打ちの後通話は切れた。

作業員に声をかける。


「いつになったら出れんの?」


「あと20分もあれば可能かと」


「ケーブル切られてるけど?」


「…追加で100分ほど」


「はあ…速くしてね」


「はい」


どうせ、彼が戦場に向かえばすぐに終わるんだ。

戦争なんて早く終わったほうがいい。


「終わったら起こして」


手首には髪紐がひとつ。

くしゃりと短い髪を乱して横になる。

そして、眠りへとついた。

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