68
「王よ!何故ですか?!私はたちは貴方様に誠心誠意支えてきたはずで…」
目の前で同僚が殺されていく。
残ったのは私含めて9人…か。
「陛下、何故このようなことを?」
「神降しでは兵器に叶わないのだ。魔法を使った攻撃だけではなく、武力の面でも我が国は強くあるべきなのだよ」
「私たちを選んだ理由はなんですか」
「意を唱えなさそうだったからだ」
朝日が昇る。
随分と懐かしい夢を見ました。
私たちが生まれた時のこと、今でも覚えていますよ。
ため息を吐き、窓のを見上げる。
今日は曇り空ですね。
*
「あとちょっと…」
「カリン、入るぞ」
「…待って!レオン様!」
レオンがズカズカと部屋へ入ってきた。
「やっぱり」
レオンは座り込んで呪文を唱えていたカリンの横にしゃがむ。
「それは、よくないことだ」
「…貴方に何がわかるというのですか」
全身に呪文の束のようなものが浮き上がって痛々しい。カリンは呪いのこもった目でレオンを睨みつける。
「兄弟や親を亡くしたことは俺にはない。だからわからない。だけど、そんなことをしてクロードは喜ぶのか?それが成功したところであいつがその体に居られるのは精々2、3年が限度だろう?」
「わかっていますよ、そんなことくらい。だけど、みんな私よりクロードの方を大切に思っていて、私なんかが生き続けてしまうよりあの子が少しの間でもいる方が皆にとっても…」
「カリン」
カリンは堪えきれず涙をこぼす。
「…だいたいなんなんですか!今になって!いつも無神経なことばっかで!どうせクロードより私を愛してくれる人なんていないのだからいいではないですか!」
レオンは目を逸らさずカリンの瞳を見続ける。
「俺は!俺は___カリンが好きだ。愛している」
「…は?」
驚いたのか呪文の光が消えていく。
「俺はお前が好きだ。だからお前にいなくなって欲しくない。俺の隣で生きて、生き続けて欲しい」
手を握り、目を離さない。
「…えぇ?」
カリンの体に浮かんでいた呪文が薄れていく。
同時に耳まで真っ赤になってしまった。
「な、何を…」
「好きだって言ってんだ」
カリンは顔を背けが、それでもレオンはまっすぐ見つめ続けている。
「わかりました、わかりましたから一旦離して…」
「ああ」
パッと手を離すとカリンは顔を覆ってしまった。
「なんで、なんでそんなこといきなり言うんですか」
「俺がカリンのことが好きだから。礼儀正しいところも、真面目なところも、少し意地っ張りなところも全部好きなんだ」
「…っ!!よく恥ずかしげも無くそんなことが言えますね」
クロードと対極的に肩ほどだったカリンの髪の毛は伸びて背中にそって流れている。
「もちろん、俺はクロードのことも好ましく思っていたが、カリンのことを愛しているんだ。クロードと似たお前では無く、カリンが。カリンとして生きている貴方が好きなんだ」
目を大きく見開き、そこから大粒の涙が溢れる。
「なんで…そんな…貴方はいつも私に一番欲しい言葉をくれるのよ」
カリンがレオンに抱きついた。
服をギュッと握りしめ、大声で泣いた。
その間レオンはカリンの背中を摩り続けた。




