↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/16

10.旧都の塔:門

ガァァァァンッ!!


300%のオーバークロックによって限界突破した出力が、右腕のブレードから一点に集中する。

【勇者の腕輪】から奔流のように溢れ出た青白い魔力電流が、【タワー・ガーディアン】の外骨格を形成する多重ファイアウォールを内側から文字通り「焼き切る」ように穿った。


【システム通知:クリティカルヒット】


対象に対するデバッグ(破壊)処理が完了しました。


獲得経験値:2,500 pt


獲得素材:『高密度エーテル・コア片』×1、『超硬質フレーム合金』×2


コア熱負荷ステータス:82%(※警告:これ以上の連続高出力稼働は危険領域です)


「はぁっ……、はぁっ……!」


ブレードを抜き去ると同時に、【朔】の胸の中央にある【コア】からカチリと冷たい冷却音が響き、全身を駆け巡っていた青白いスパークが急速に収束していく。

300%オーバークロックの反動による熱負荷が、肉体のフレーム内側からジンジンと痛みを伴って伝わってきた。


「……さすがに、このスペックの負荷を長時間維持するのはハードウェアの寿命を縮めるな。だが――」


【朔】は崩れ去る防衛兵器の巨大な残骸を見下ろし、冷徹に微笑んだ。

圧倒的な物量を誇ったタワー・ガーディアンは、もはやただの「スクラップの山」に成り果てていた。


「これで、旧都の塔へのアクセスルートは完全にクリーンアップされた」


息を整えながら振り返ると、【エレナ】が目を見張り、驚きと畏怖の入り混じった表情で立ち尽くしていた。

「いまの戦闘……。あの防衛兵器は、旧都の最深部を守るための特別な個体のはずです。それをあんな一瞬で……!」

「セキュリティがどれだけ厳しかろうが、弱点(バグの根源)さえ見つければ、あとは正しい手順でデバッグを執行するだけだ。行くぞ、エレナ」


足早に瓦礫の道を抜けた二人の目の前に、ついにその全貌を現した。


雲を突くようにそびえ立つ、漆黒と冷たい金属光沢に彩られた『旧都の塔』。

その巨大なゲートの前では、世界そのものの理がざわめくような不穏なノイズが、微弱な電流となって空間を震わせていた。


塔の最上部へと続く巨大なエントランス。そこはまさに、この世界の歪みを引き起こしている「本丸(メインサーバー)」の入口だった。


左手首の【勇者の腕輪】が、塔の深部から放たれる不気味なシグナルに呼応するように、ふたたび青く、しかし激しく明滅を始める。


「――さて。ここから先が本番だな」


元・システムエンジニアは冷徹な眼差しを塔の入口に向け、荒野の風を切るように一歩を踏み出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。