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37話【当然の来訪者】

「こうして、モテモテで困った凛華ちゃんは周りのことを考える天使のような存在になり、学校生活を無事過ごしましたとさ………お終い。」


聴き終わった時涼介は何も言えなかった。

モテるが故の涼介が知りもしない………この先知ることのない苦労だったからだ。


「お前も大変なんだな」


ただ、そんな言葉だけが出てきた。


「そーです、凛華ちゃんものすごーく優秀ですから」


「はいはい、凄い凄い」


自分達の過去を話し、先程までとは比べ物にならないくらいお互いのことを理解したであろう二人はいつもの様に話して笑った。

そんな時また雷が鳴った。


「きゃっ」


凛華は突然の事で驚いたのか今までに聞いたことないくらいの高い声を出した。


「随分可愛い声だな」


「………忘れてください」


凛華は恥ずかしいのか涼介の布団に潜った。


「寝る時はちゃんと出ていけよ」


「嫌です、先輩がさっき私のことをからかったので傷つきました

もう動きたくないです」


「なら俺もいつもそのくらい傷ついてるな」


「先輩は良いんですよ」


「横暴だな」


いつもの何気ない会話が今はとても心地良く感じる。

凛華もそうなのか布団から顔を出した。


「それに……怖かったんで」


「雷が?」


「それもありますね」


「そうか……司も大変だな、雷の日は毎回お前に構わなきゃいけないからな」


「お兄ちゃんにはいつも感謝してますよ」


それから二人はいつの間にか眠ってしまっていた。


◇◆◇◆◇◆


朝目が覚めると見知らぬ光景が広がっていた。


「………そっか、私先輩の家に泊まったのか…」


昨日の出来事を思い出すだけで叫びたくなった。

涼介は起きているのかと確認するため下を見たが、未だに眠っていた。


「ふふ、ぐっすり眠っていますね」


凛華は寝ている涼介の頭を撫でたり、頬を触ったりした。


「これは前のお返しですから」


そう自分に言い聞かせた。


「こうして眠っているとなんか可愛いです」


絶対に本人には聞かせられないことを口出した。

昨日自分のことを話したことが不安なのか自分らしくないと思いつつも涼介を撫でた。


膝枕をしたら起きた時に先輩は驚くのだろうか


そんなことをふと思いついた。

起きた時の涼介の恥ずかしそうにする顔を想像しただけで楽しくなってきた。

だからだろうか近づいてくる足音に気が付かなかった。


「おい、腹減った」


「へ?」


いきなり部屋の扉が開いたことに凛華は驚いた。

しかも、開けたのは女性だったのだ。

あちらもこちらに気がついたようだった。


「……あいつも彼女を泊めるようになったのかぁ

わりーな、失礼した」


女性……突然の来訪者は扉を閉めてなかった事のようにした。


「いや、え?

ちょっと待ってください

私は別に先輩の彼女じゃないですよ!」


がしかし、凛華は慌てて引き止めた。


2人で大声を出した為だろうか。

涼介が目を覚ました。


「…………朝から騒がしいな」


「あ、おはようございます先輩」


「あぁ、おはよう」


涼介はなんで騒いでいたのか確かめるため辺りを見回した。


「あ、帰ってきてたんですね」


「仕事が一段落してたからな、それにしてもお前も彼女を連れてくるようになったんだな」


「いや、違いますから」


「付き合ってもいない女子を家に泊めたのか」


「えーと、まぁ、そうなりますけど…

これには事情があったんですよ」


「なら聞こう

だが、その前に腹減った」


「今作るんで待っててください」


◇◆◇◆◇◆


これを修羅場というのだろうかと凛華は思った。

涼介は今ご飯を作っているため、キッチンにいる。

そのため、テーブルには凛華と突然部屋に入ってきた人(今の凛華の認識)しかおらず、とても気まずい雰囲気だった。


「ほら出来たぞ」


意を決して話題でも振ろうとした時に涼介は朝食を運んできた。


「すまないな」


「ありがとうございます」


テーブルにいた2人は朝食を運んできた涼介に感謝を述べた。


「えーと、とりあえず紹介する

こっちは俺の後輩の中村凛華だ」


「初めまして!」


緊張しつつも出来るだけ明るい感じに挨拶が出来た気がする。


「んで、こっちが俺の叔母の……」


「あ?てめぇ、叔母言うんじゃねぇぞ

私はまだ20代だぞ」


「…………俺のお姉さん(?)みたいな感じで今は俺の親代わりにあたる川本綾子さんだ」


「疑問形がついてた気がするがまぁ、良しとしよう

よろしくな」


なんか、怖そうな感じの人だなぁ……。


最初はそう思った凛華だった。


◇◆◇◆◇◆


俺は今物凄い光景を見ている。

最初は凛華と綾子さんは気まずい空気を出していた。

だけど、何故か今二人は仲良さそうに話していた。


「お前見た目可愛いくて、しっかりしてそうなのに雷が怖いのか!」


「そうなんですよ…」


少し恥ずかしそうに凛華はしていた。


「そのギャップいいな!

今度凛華ちゃんのこと撮らせてくれよ」


「え?どういう事ですか?」


「ん?あー、実は私なカメラマンやってんだ」


そう言って綾子は名刺を渡した。


「あっ、私ここ知ってます!

よくここの雑誌見てますよ!!」


「おおー、そうかそうか

それりゃ嬉しいねえ」


完全に存在が空気となった涼介は食べ終わった食器の片付けをしていた。


「あっ、私も手伝いますよ」


「いや、お前は綾子さんと話しててもいいぞ」


「いえいえ、泊めてもらった恩がありますから」


凛華はさげた食器を洗い始めた。


「よし、じゃあ私は職場に戻るからな」


「もう行くんですね」


「忙しいからな

じゃ、まぁ、凛華ちゃん今度撮らせてくれよな」


「はい!是非!」


凛華は笑顔で返事をした。


綾子が行った所を見届けると涼介はため息をついた。


「随分と騒がしい人でしたね」


「まぁな」


涼介の周りには意外と騒がしい人が多いのだが、綾子さんが一番やりにくいタイプだと思っている。

本人には言わないが。


「私もこれ片付けたら帰りますね」


「そうか」


「最後に先輩のご両親に挨拶してもいいですか?」


凛華からそんなことを言われるとは思っておらず驚いたのと同時に少し迷った。


「あぁ、いいぞ」


しかし、断る理由もないので了承した。

それから、凛華は家へと帰って行った。

土日は色々あったなと考えながら涼介はソファーで目を閉じた。


色々あったが、また明日からもあのウザいモードの凛華が絡んでくるのだろう


嫌だなと思いつつも、まぁ、悪くは無いからいいかと思った。

長い長い9月22日が終わりましたね、うん

さて、次からは秋ということで体育祭がね、ありますよ!


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