36話【私の過ち】
私は昔からモテモテだった。
同年代以外にも年上や年下など誰もからもモテた。
みんなはそれを羨ましいと言ってくるが、私は迷惑だと思っている。
ただ話してて楽しいとかそういう感じなのが好きな私は、告白という今の関係を崩すという概念が嫌いだった。
私は誰とも付き合う気がないと毎回そう言ってるし、公言しているなのに、みんな告白してくる。
確かに自分の気持ちを伝える告白という行為は勇気あってすごいことだと思う、だけどそれをすることによって今までの関係がなくなってしまう。
それが嫌だった。
それに……
◇◆◇◆◇◆
「凛華ちゃんは好きな人いるの?」
放課後に友達と話している時の事だった。
突然そんなことを言われた。
「いないよ
ていうか、そういうの作る気ないかな」
「そうなんだ……」
「村田ちゃんはいるの?」
「いるよ」
村田ちゃん………村田りかは恥ずかしそうに答えた。
「えっ誰なの?」
「……同じクラスの宮間くん」
「えっ、最近仲良いじゃん!
絶対行けるよ!私応援するよ!」
「そう……かな」
「うんうん、私がサポートするよ
だから、頑張って!!」
この時の私の行動は軽率だったかもしれない。
友達のことを考えている優しい行動だったと言えるだろう……。
しかし、自分がどれだけ凄いのかを理解していなかった。
サポートすると言ってから私は何かをする度村田ちゃんと悠太くん………間宮悠太を一緒にさせた。
もちろんすぐサポート出来るようにと私も一緒にいたが。
私が仕切って3人で遊びに行ったりもした。
それでも二人の仲は変わる気配がなかった。
だから私は聞いてみることにした。
「悠太くんって好きな人いるの?」
これで村田ちゃんではなく、他の子だったら上手く村田ちゃんを諦めさせるしかないと思った。
全ては大切な友達のためだと……。
「いるよ」
少し間をあけて答えた。
その顔は何かを決めたような顔だった気がする。
しかし、その時の私はその事に気が付かなかった。
「えっ、誰なのー?」
いつもの様に自然な形で聞けたことに対して私は満足していた。
しかし
「俺……俺お前のことが好きなんだよ!!
結構前からそうだった
だから、友達になれた時嬉しかった
でも、彼氏は作らないって聞いた時は悲しかったけど、最近一緒に遊べて嬉しかった
それでこの抑えてた気持ちが我慢できなくなったんだ。
無理でもこの気持ちを伝えようって、そう思ったんだ!
俺と付き合ってください」
その子にとってこれは大事な告白だったかもしれない。
もしかしたら、初めてのことかもしれない。
でも、私は付き合うつもりなどなかった。
「ごめんなさい」
ただそれだけ伝える。
だって、それしか言う事がないから。
「そう……だよな
俺なんかじゃ……ダメだよな……」
悠太くんは涙を流しそうな顔をグッと堪えて、教室から出ていった。
「りえ……」
「悠太くん……?」
教室に出ようとした時にちょうど会ってしまった。
今が一番最悪なタイミングだった。
「りえちゃん……」
悠太はそのまま廊下に出ていってしまった。
りえちゃんはそれを追おうかと迷った素振りをしたが、辞めてこちらに近づいてきた。
「ねぇ、私の恋を応援してくれるんじゃないの…?」
彼女は泣きそうな声で言った。
これは仕方ない事だった……そう言えたら楽だったかもしれない。
それに、自分じゃどうしようも無いことだった。
「ごめんなさい」
「馬鹿!
凛華ちゃんに近づいたのだって、悠太くんと近づきたかったからだもん
だから、応援するって言われた時行けると思ったもん近づいてよかったって思ったもん
それなのに………それなのになんで、なんでよ!
なんで私じゃなくて、あなたが選ばれるの!
ねぇ!ねぇ、どうしてよ…」
そのままりえは泣き崩れてしまった。
凛華も泣きたい気分だった。
自分でもどうしようもない、止められない事だった。
本当にそうなのか?
ふとそんなことを思ってしまった。
もし、日頃の悠太くんの行動から私に好意を抱いていることに気が付けたら止められたんじゃないか。
そんなことが頭に浮かぶ。
しかし、それは過ぎ去った過去の話だ。
だからもう後戻りは出来ない。
◇◆◇◆◇◆
あの日から1週間が経っただろうか。
今の私の周りにはまた別な子たちが居る。
男女共にそれなりの人数がいる。
凛華は注意深く周りを見ていた。
二度とあんなことが起こらないために……と。
だから学校では大丈夫だった。
最近はお兄ちゃんが家に友達を連れてくるようになった。
それでなんとなくの流れでお兄ちゃんが家に連れてきた時はお兄ちゃんと友達と私で一緒にゲームをするようになった。
人数は私を含めて6人とそれなりにいた。
お兄ちゃんは週に2回から3回ほど連れてくるようになった。
そんなある日、私は気が付いてしまった。
お兄ちゃんの友達の一人が私に好意を抱いていることに。
どうにか回避しようとした。
しかし、人の気持ちを変えることなんてできないし、そんな方法など知らなかった。
そして、遂に訪れてしまった。
お兄ちゃんの友達に告白された。
もちろん私は断った。
慎重に、丁寧に、その人は直ぐに諦めた。
でも、その人が家に遊びに来ることは無かった。
他の二人は来ているのに。
だから、お兄ちゃんに理由を直接聞いてみた。
「なんか、塾に入ることしたから放課後は忙しいんだって」
「そう……なんだ」
嘘か本当か分からないけど、お兄ちゃんの友達を減らしてしまったという罪悪感に襲われた。
「もう冬だからね
来年は中三なって受験が近づいてくるから早めに勉強を始めておいた方が有利だからね
凛華は何も悪くないよ」
司は凛華が気にしていることを知ってるような口ぶりだった。
でも、その言葉で凛華の気持ちは少し軽くなった。
それからお兄ちゃんは私がいる時に家に誰かを連れてくることは無かった。




