14.試験に向けて④ 忍者最強!
「“ストーンエッジ”!」
「白き光よ、剣の如く敵を切り裂け、“ライトニングセイバー”!」
俺たちの攻撃を防いだことで、師匠の両手が塞がって隙ができた。
その瞬間を狙い、美穂が鋭利な岩を下から突き上げていく土属性の攻撃魔法、紗奈が直後に詠唱して光の巨大な剣を師匠に向かってそれぞれ放つ。
「“エアロブースト”!」
俺は晃太の腕を掴んで巻き添えを食らわない最低限の距離まで、最低限の波動を使い“エアロブースト”で移動した。
「土遁、“土城壁”! ……からの火遁、“火炎之太刀”!」
師匠は、俺たちが離れた一瞬の間に“土城壁”で美穂の“ストーンエッジ”を防ぎ、すぐさま火遁の印を結び、右手に太刀のように細長い炎の剣を発現させ、紗奈の“ライトニングセイバー”にぶつける。
すると、“ライトニングセイバー”は“火炎之太刀”によって真っ二つに切られ、そのまま消失した。
「嘘……!」
「我が剣が……」
自分たちの攻撃が完全に防がれたことに動揺する美穂と紗奈に、師匠は俺と晃太が呆気に取られるような猛スピードで突っ込んでいく。
「っ……! “サンダーアロー”!」
「おっと」
「“アクアスラッシュ”!」
「ほっ」
「“フローズン”!」
「火遁、“火吹”!」
「……くっ!」
美穂は、一瞬で距離を詰めてきた師匠に何とか間合いには入らせないように連続で攻撃魔法を放って行くが、師匠は全ての魔法をかわして防いでいく。
「……美穂ちゃんは多彩な属性魔法に加えて支援……強化魔法や回復魔法が使える分、器用貧乏になってるな」
めげることなく魔法を放ち続ける美穂に対し、相変わらず身軽な動きでそれらをかわしながらそう美穂に語りかける師匠。
「だから、攻撃に関して言えば、決定的な攻撃力に欠けてるってところか。土遁“土石流”!」
「……! “プロテクト”!」
「甘いぜ……!」
「え……! きゃあっ!?」
師匠が土石流を大量に美穂に向かって放つと、美穂は“プロテクト”で“土石流”に呑まれないようにガードした。
……のだが直後、突然美穂の体が上へと浮き上がり、宙吊りのようになる。
「……これ、ワイヤー……?」
「そ、隙を見て仕込ませてもらったぜ」
美穂の体をよく見ると、天井から吊り下げられている極細のワイヤーが巻き付かれ、身動きの取れない状態となっていた。
「まず1人と……」
師匠がそう言って両手を叩いていると、美穂がニヤッと口元を歪ませる。
「ふっふっふ……美穂の時間稼ぎによって我のしっかりと詠唱した魔法攻撃……喰らうがいい! “シャドーアサルト”!」
すると、紗奈がいつの間に詠唱していたのか、右手に闇属性の魔力を纏い、師匠手のひらをかざし、その先にある魔法陣から、閃光のように素早い槍のように先が尖った影の塊のようなものを放つ。
「ぐっ……!」
そして、師匠に“シャドーアサルト”が直撃した……かに思われた。
ボンッ!
「え?」
“シャドーアサルト”が当たった直後、師匠の体が煙だらけになったかと思うと、そこにあったのは師匠の格好をした人形であった。
「“変わり身の術”」
「なっ……!」
そして、紗奈のすぐ後ろに師匠が煙とともに現れた。
「よっ!」
「くっ……!」
すぐさま師匠が手刀で紗奈に攻撃をするが、紗奈はギリギリのところで何とか避ける。
「雷遁、“雷手裏剣”」
「守れ! “プロテクト”!」
さらに、師匠は“雷手裏剣”を放って追い打ちをかけるが、紗奈は“プロテクト”で何とかガードする。
「どりゃっ!」
「ぐぬ……」
“雷手裏剣”を放った直後、師匠は再び紗奈との距離を詰め、手刀を降り下ろし、紗奈はそれをSギアステッキで防ぐ。
「土遁、“蟻地獄”!」
「……なっ!」
だが、その隙に師匠は片手で土遁の印を結び、紗奈の足元に“蟻地獄”を再び発生させ今度は紗奈を完全に捕らえる。
「紗奈ちゃんは、その年であれだけの魔法を使えるのと、それを使っても底が尽きない魔力はすごいが、近接戦闘が弱点ってところか。ま、とりあえずこれで2人目と……」
師匠は紗奈が胸辺りまで地面に埋まった姿を見ながらそう言い、俺と晃太の方を見る。
「……さて、あとはチーム仲間……それも女の子がやられるのを黙って見てた野郎2人か」
「おいこら、変な言い方すんじゃねえ。こっちにしっかり威圧感放ってたやつはどこのどいつだっつの」
さて、俺と晃太だが、別にただ黙って美穂と紗奈がやられていくのを見ていたわけじゃない。
いつ攻撃してもいいように体勢は整えていたのだが、師匠は美穂たちと戦いながらも俺らにも対応出来るようにこっちにも視線と威圧感を常に放ち、俺たちが下手に動かないように目を光らせていたので、中々動けずにいたのだ。
もし下手に動いても、師匠にすぐやられるのが目に見えている。
だから、まあ要は動けなかったので師匠の言うことは間違ってはないのだが、師匠に言われると何かイラッと来るな。
「……さあ、行くぜ、雷遁、“雷乱舞”!」
そして、師匠は俺の言うことを気に止めることもなく攻撃体勢に入った。




