14.試験に向けて③ いきなり稽古
ギルドの地下、そこには、学校同様に特訓場、もといアビリティフィールドなるものが存在する。
概要的なものは学校の設備と同じような感じなのだが、面積が学校の特訓場より広めに作られており、さらには地下2階にも同じアビリティフィールドがある。
というわけで、俺たちは現在このアビリティフィールドへとやってきていた。
なぜかというと、師匠がたまには師匠らしく稽古をつけてやるとか言ってきたからである。
疲れてるんじゃなかったのかよと突っ込みを入れたら、
「それはそれ、これはこれだ」
と言って何やらやる気になっていたので、「じゃあ」と言って今に至るとなったわけだ。
「よーし、じゃあいつでも来ていいぞー」
俺たちと距離を取った後、軽く準備運動をしてそう言う師匠。
「え? 順番とかは……」
「順番? 何の?」
「え……その……稽古してもらう順番ですけど……」
美穂の言葉に、「ああ……」と言って理解する師匠。
「一斉でいいぞ」
「「……え?」」
そしてそんなことを言う師匠に美穂と紗奈が一瞬ポカンとした顔をする。
「……あー、いつものことだ。俺と晃太2人の時も師匠とは2対1でやってたから」
「言っておくけど、師匠は強えーぞ。戦っててわくわくしてくっからな」
「……お前はサイヤ人かよ……。でも、まあ、晃太の言う通り、師匠はかなりの強さだ。美穂は何回か見たことあるだろうけど、まじでやばい。あの古城で戦ったやつよりは確実に強いぞ」
「うん……強いのは何となくわかってたけどそんなに強いんだ……」
「ふっ……くっくっく……そこまで言うか……。じ、実に楽しみである……」
少し嫌そうな顔をする美穂と口では強気のつもりだろうがすこし怖じ気づいてるのがバレバレの紗奈。
「おーい、来ないのかー?」
そんな2人をよそに呑気な感じの師匠。
「ちょっと待って!」
俺は師匠にそう言って、3人の方を向く。
「いいか? 動き方はいつもの感じで行くけど、師匠から絶対に視線を反らすな。一瞬でも油断したらすぐやられるからな」
「う……うん……」
「ふっ……その程度造作もないこと……」
「……よし、じゃあ行くぞ」
俺は師匠の方を向き、戦闘体勢を整える。
「準備いいぜ師匠」
「よーし、じゃあどっからでもかかってきていいぞ」
師匠のその言葉を皮切りに稽古もとい師匠VS俺、晃太、美穂、紗奈のバトルが始まった。
まずは、いつものフォーメーション通り、俺と晃太が前線に出て先制攻撃を仕掛ける。
「“変身”! ……“サンダーブロー”!」
「“火炎拳”!」
晃太が“変身”、俺がレッドモードでそれぞれ強化形態になりながら師匠に2人同時に拳を打ち込む。
「おっ! ……前より少し早くなってるな、いやー若いっていいねー。成長が早い」
そんなことを喋りながら余裕綽々でかわす師匠。
「何言ってんだ、師匠だってまだ25じゃねえか! “サンダーブロー”!」
「バカ野郎! 10代と20代を比べんじゃねえ!」
そんな会話をしながら、晃太の攻撃をひらりとかわす師匠。
「“火炎刃”!」
その隙を狙って“火炎刃”を師匠に放つ。
「おっと! させねえぞ!」
するとどこから出したのか、片手にクナイを持ちそれで“火炎刃”を防がれる。
「白き光よ、聖なる力を持って敵を穿て、“ライトニングジャベリン”!」
すると、後方から紗奈が“ライトニングジャベリン”を発動させ、複数の光の槍が師匠目掛けて飛んでいく。
俺と晃太は詠唱段階で師匠から離れ、巻き添えを食らわないように距離を取る。
「雷遁、“雷空刃”!」
だが、師匠は素早く印を結ぶと、両手に電気を纏ってそこから電気の斬撃波を放ち、“ライトニングジャベリン”を打ち消していく。
「忍……術……だと!? なんてかっこ……いや、面白い! やりがいがあるわ!」
自分の攻撃魔法が粉砕されたにも関わらず、師匠の忍術を見て興奮する紗奈。
「くっくっく……ならばこれならどうだ……! 地獄に誘いしその手で闇へと引きずり込め、“デーモンハンド”!」
「……!」
紗奈が“デーモンハンド”を発動させると、師匠の足元に表れた黒い影から無数の手が這いずり出てきて師匠の足を掴んでいく。
初見だからか、師匠は避ける様子もなくあっさり捕まっているが……。
「土遁“蟻地獄”」
「えっ……ってにゃにぃ!?」
師匠は足元に絡み付いてくる黒い手を気にすることなく、印を結んだ後、紗奈の足元にお返しだと言わんばかりに蟻地獄を発生させる。
「紗奈! “エンチャント・アームズ”!」
だが、すぐに美穂が紗奈の腕を掴んで自分に強化魔法をかけて“蟻地獄”から引っ張り出す。
「ふう……助かったぞ美穂……」
「ほう……!」
紗奈が“蟻地獄”に気を取られたことで、“デーモンハンド”から解放された師匠は美穂の咄嗟の判断に呑気に感心する。
「“メテオスマッシュ”!」
「“エレキシュート”!」
その隙を狙い、俺と晃太が背後から師匠に攻撃を仕掛ける。
が。
「おっと……そんな見え見えの攻撃、俺には効かないぜ?」
師匠は俺たちの方を振り返ることなく俺と晃太の攻撃を受け止め、余裕たっぷりの声でちょっとカッコつけながらそう言った。




