14.試験に向けて① 申請と久々の……
「はい、これで大丈夫です。試験の日程なんだけど、どうする?」
土曜日。
俺、晃太、美穂、紗奈は昇級試験の申請をしにギルドに来ていた。
そして、申請に必要な書類と自分たちのギルドカードを今日も笑顔で受付をしている水瀬さんへ提出をしていた。
書類は試験に関する規約の同意書、ギルドカードは本人確認と昇級条件を満たしているかの確認である。
ギルドカードは、冒険者としての個人情報が事細やかに記録されていくという何ともハイテクな電子カードで、どこのダンジョンに何回潜ったかや、倒したモンスターの種類と数までを正確に記録してくれるのだ。
科学の力ってすげーな。
……とにかく、そういうことで、水瀬さんに申請手続きをして通ったところで、後は試験をやる日にちである。
これに関しては、ギルドがこちらの都合に合わせてくれるらしい。
「……どうする?」
俺が他の3人に聞くと、最初に晃太が口を開く。
「今日は?」
「却下。というか無理だろ」
「ごめんね晃太君。試験するには試験官の手配とか試験場所の確保とかあるから、最低でも3日後になるの」
「そっか……」
水瀬さんの説明したことは同意書にも書かれていたことである。
こいつ、ろくに読まずに名前だけ書いたな……。
「試験ってどのくらいかかるんですか?」
「そうだね……試験にかかる時間は人それぞれだから詳しくは答えれないけど、とりあえず1日はかかるって見ておいた方がいいかな?」
「……ってことは、学校がある時は無理だね」
「となると、終業式が木曜だから早くても来週の金曜以降だな」
「じゃあ金曜は!?」
俺の言葉に即座に反応する晃太。
メチャクチャにやる気満々だなおい。
「俺はいいぞ」
「私も」
「ふっ……我も問題ない……」
「じゃあ決まりだな!」
「えっと……じゃあ皆来週の金曜ってことでいいの?」
「はい、それでお願いします」
「じゃあ、その日で申請するね。時間とかの連絡は後から連絡になるけど、連絡手段はギルドからのメールで大丈夫?」
「いいか?」
水瀬さんの問いにさらに俺が3人に聞くと、3人とも頷く。
「じゃあそれで」
「はい……っと。これで以上です。……それにしても、晃太君いつにもまして元気というかやる気があるというか……どうしたの?」
「……実はこの間、昇級試験受けてもし受かったら、出られたらABF出てみないかって話してからずっとこの調子で……」
実は三者面談の後、晃太たちに昇級試験のことを絡めつつ、ABFに出てみたいという旨の話をしていたのだが、案の定晃太は即賛成し、それ以来ずっとこのテンションである。
美穂と紗奈も昇級試験を受けようという話の時から、ABFのことは意識していたらしく、俺の話に快く賛成してくれた。
というか、紗奈に関してはかなり食いぎみに賛成してきたので下手したら晃太より楽しみにしているのかもしれない。
今もこの話題になった途端、もぞもぞし始めたし……。
「へえ……ん? でもそれだったらもう1人必要だよね?」
「……そこなんですよね」
現在、俺たちがABFに出るに当たって、最低でもあと1人、Cランク以上冒険者を探さなければならないというのが最大のネックとなっている。
まあ、これは俺たち全員が昇級試験に合格することを前提にしていることなので、もし1人でも昇級試験に落ちたらABFに出場できないのだが。
「誰かチーム組んでなくてCランク以上で18歳以下の都合のいい人っていないですかね?」
「その言い方はどうかと思うけど……うーん、私の知ってる冒険者の中ではそんな感じの人はいないかな……? 高校生の冒険者の子って大体誰かしらとチーム組むし、今の時期でソロの冒険者の子は高1でまだ色んな人と即席でチーム組んだりしてチーム相性試してみたりで昇級試験受けてなかったりするから……」
「そうですか……」
水瀬さんなら、条件に当てはまりそうなやつを知ってるかもと聞いてみたが、そんな都合の良いことはなく、少し気落ちしてしまう。
「力になれなくてごめんね」
「いえ、そんなことないですって。こっちこそ無茶なこと聞いてすいません」
そんな俺の様子を見て、水瀬さんが申し訳なさそうに謝ってきたので、慌てて謝り返す。
別に水瀬さんは悪くないのだが、こういうところで謝ってくるところから、すごい優しい人であると同時に、責任を感じやすいというか、そういう部分が強い人なんだなと伝わってくる。
「……まあ、とりあえずまずは昇級試験、頑張ってね! 私の方も時間ある時に探してみるから!」
「はい。でも、そんな気遣わなくても大丈夫ですからね」
「いいのいいの。私が好きでやることだから」
「はあ……」
「そういうわけだから、ね?」
「……じゃあお願いします」
水瀬さんの押しに俺は頷き、メンバーの件を水瀬さんにも探してもらうことになった。
だが、それ以前に俺たちが昇級試験に合格しないと無意味なことをさせてしまことになる。
これは、頑張って合格しないとな……。
「お、久し振りだなお前ら」
そんなことを思っていると、後ろからとても聞き慣れた声が聞こえてくる。
「あ……師匠……」
後ろを振り向くと、そこにはいつもより少し元気のない感じの師匠の姿があった。




