13.三者面談② 昇級とABFと……
冒険者ランク。
これを上げるためには、まず各ランクに応じた昇級条件を満たさなければならない。
条件を満たせたら、ギルドに申請して昇級試験を受けることができる。
そして、これに合格したら見事昇級できるというわけだ。
俺たちの冒険者ランクは現在D。
通常、Cランクに昇級するための条件は、ランクD以上のダンジョンの探索を20回、モンスター討伐を15体というものになっているのだが、俺たちみたいに高校生で冒険者をやっていると、もう一つ条件が付いてくる。
それは、ギルドに冒険者登録してから3ヶ月以上経過していること。
俺と晃太が冒険者登録したのが4月1日、美穂と紗奈も4月の最初の週に登録したと言っていた。
そして今は7月の中旬に差し掛かった頃である。
俺たちは結構な頻度でダンジョンに潜っていたので、ダンジョン探索の条件はクリアしているし、モンスター討伐数もビッグマウス討伐クエストや古城でのモンスターハウス(晃太と美穂はカサカサの大量討伐)のおかげで余裕でクリアしていた。
ただ、7月に入ってからは実技テストや三者面談などで昇級試験を受けることができていなかった。
俺が六花先生の問いに「はい」と答えると、六花先生はさらに質問してくる。
「ということは、受けるのか?」
「はい。今週末にでも申請しておこうかなと。美穂たちも同じです」
「ほう……神崎は面談の時そこまで言ってなかったが……そうか……」
「ちょっと、それ初耳なんだけど」
六花先生がそう言って何か考えていると、横から母ちゃんが口を挟んでくる。
「あれ? 言ってなかったっけ?」
「聞いてない」
「……ごめん」
「日向……そういうのはしっかり報告しておかないとダメだぞ……」
「はい……」
「……で、話は戻るが、昇級試験に合格できたら晴れてCランクに昇級できるわけだが……。そしたら、お前らのチームはあれに出るのか?」
「……! はい、出られるなら出たいなって思ってます」
「……そうか」
「……あれというのはもしかして"ABF"のことでしょうか?」
母ちゃんが首を傾げて六花先生に尋ねる。
「はい」
ABILITY BATTLE FESTIVAL。
通称"ABF"。
それは、8月に開催される冒険者たちの祭典で、上旬に地方大会、お盆過ぎに全国大会が行われるこの国のビッグイベントの1つである。
ABFは、over19部門(満19才以上)とunder18部門(18才未満)の2つの部門があり、それぞれ日程が重ならないように行われている。
under18部門の条件は、まずは冒険者ランクがCランク以上であること。
「じゃあ、これは渡した方がいいな」
そう言って、六花先生は自分のクリアファイルからプリントを取り出してそれを俺の前に置く。
「ありがとうございます」
俺は目の前のプリントに一通り目を通す。
プリントの上には大きく「学校許可証」と書かれている。
条件の2つ目は参加者が学生である場合、学校から出場許可を得ること。
そして、条件の3つ目だが……。
「……だが、お前のチームは確か今は4人だろう? 今のままだと参加はできないんじゃないか?」
「そうなんですよね……」
参加はチーム5人以上で組むこと、である。
現在俺たちのチームは俺、晃太、美穂、紗奈の4人である。
このままでは人数不足でABFには出場することが出来ないのだ。
「……まあ、うちの高校はアビリティ科普通科含めて冒険者をやっているのはそこそこ多い。誰かにその時だけでも協力してもらえるか頼んでみればいい。それか、ギルドで探して見るとかな。……まあ、昇級試験に受かればの話だが」
「まあ、そこはチームで相談してみます」
「そうだな。それがいいだろう」
六花先生はそう言って一段落したような顔をしたあと、母ちゃんの方を見てハッとしたような顔になる。
「あっ! すいませんお母さん。三者面談なのにお母さんとあまりお話せずに……」
申し訳なさそうな六花先生に対し、母ちゃんは口に手を当てて笑いながら答える。
「いえいえ、いいですよ。南が学校でちゃんとしてるのも先生を含めて皆と仲良くしていることもわかりましたし」
「いやいや、本当はお母さんともう少しお話したかったのですが……ああ、そうだ。これを言うのを忘れていたのですが、南君は確かに勉強も問題ないですし、学校生活も大丈夫なのですが、最近すっかり学校に慣れてきたのか、たまに授業中に私語が目立つことがありますので、そこは気を付けてほしいところですね」
三者面談もそろそろ終わりかと思いかけてたところに、六花先生が思い出したようにそんなことを母ちゃんに言う。
……多分、実技テストの時のことを言っているのだろう。
母ちゃんは話を聞いた後、俺の方を無言で見てくる。
「……はい、すいません。そこは気を付けます」
そして、俺が謝ることで、納得したのか「よし」と言って視線を反らす。
というところで、俺の三者面談は最後の最後で謝って終わりを迎えたのであった。




