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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第2章 炎天下の熱闘
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13.三者面談① 心配と応援と

 実技テストの翌週、三者面談が行われるという理由で学校は午前授業になっていた。

 そして、来週には終業式。

 つまり、ついに高校初の夏休みが始まる。

 というところで放課後の現在、俺は教室のそばに置かれている椅子に座ってボーッとしていた。

 理由は、次の三者面談が俺たちだからである。


「……あんた、何ボーッとしてんの?」

「……いいだろ別に」


 隣に座った母ちゃんが「シャキッとしなさい」と言って一息つく。

 別に先生には普段の学校生活とか見られてるし、今さら真面目な振りとか猫なんか被る必要は微塵もない。

 俺はふと、3人のことを考える。

 俺、晃太、美穂、紗奈と皆見事に面談日時がずれ、誰も被ることなかったので、今日は俺以外は全員とっくに帰宅している。

 もちろん、全員揃わないのでダンジョンに行くのも休みである。

 今頃はきっと家でくつろいでいることだろう。


 ……あ、そういえば美穂は三者面談に合わせて両親が地元から来るとか言ってたな。あいつ、実家はオクスシティだよな確か……。ジョーカシティ(ここ)からだと、少し遠いくらいの距離だけど……。あいつ、夏休みは実家に帰ったりすんのかな。それによって予定も立てないとだよな……。ああ……そういや、あのこともまだ相談してなかったな。


 あとでそのこと含めて諸々話さないとな。


「ではありがとうございました」


 チームのこれから……というよりは夏休みのことについて考えていると、面談が終わったのか、俺の前の組である冬木と冬木の母親らしき人が教室から出てきた。


「……あ、日向君」

「よっ」


 冬木が俺に気付き、声を掛けてくると冬木の母らしき人が軽く頭を下げてきたので俺もそれに返すように頭を下げる。


「……そういえば私の次だったね」

「ああ……」

「…………」

「…………」

「……じゃあまた」

「……ああ」


 話す話題も特になく、少し沈黙が続いた後、冬木は手を振って母親とともに帰っていった。

 ……そういえば、冬木と2人で話したこと1回もなかったな。


「次どうぞ」


 冬木との若干の気まずさを感じていると、教室の扉が開き六花先生が顔を出して教室に入るよう促してきた。





「では、面談を始めます」

「よろしくお願いします」


 俺と母ちゃんが六花先生の正面の席に着席すると、早速面談が始まる。


「まずはこれを」


 六花先生はそう言って、母ちゃんの目の前に俺の1学期の成績表を置いた。


「……ほう、我が息子ながら中々の成績ね」


 母ちゃんは成績表にざっと目を通し機嫌の良さそうなトーンでそう呟く。

 星桜高校の成績表は5段階評価方式なのだが、成績表には4と時々5が並んでいて、その脇には9/25位と書かれていた。

 つまりは、好成績且つクラス順位も上の方という一目でわかるこの成績表にご満足のようだ。


「見ての通り、南君は成績も良いですし、校内生活でも問題になるようなことはしていないのでその点については大丈夫でしょう」


 六花先生はいつもの淡々とした声でそこまで話した後、一瞬俺の方を向いたあと少し深刻そうな顔をする。


「ただ、校外と言いますか……冒険者活動においては少し気を付けた方がいいかもしれませんね。4月の謎のモンスターの件に、6月の正体不明の男のダンジョン探索中の襲撃……どちらも下手をすれば命に関わっていた可能性もありますので……」


 六花先生の声のトーンが段々と低く、心配するような声になっていく。

 冒険者と言ってもまだ高校生。

 当然、何か問題が起これば学校に報告が行く。

 なので、古城でのことがあった翌週の月曜の朝、俺、晃太、美穂、紗奈に+皐さんと木ノ崎先輩は職員室呼び出しを受け、事の経緯とその時の状況を説明していた。

 その時の六花先生の顔は本当に心配している顔で、偶然的な出来事だったとはいえとても申し訳ない気持ちになったのを今でも覚えている。


「日向……南君はアビリティはとても優秀ですし、チームを組んでいる他のものも優秀だと言える者ばかりで、教師として贔屓(ひいき)的な目をしてはいけないのでしょうが、とても期待のできる生徒たちです。しかし、期待できると言ってもまだ高校生になったばかりの新米冒険者です。もちろん、経験を積んできている2年生や3年生に比べれば劣っているところも多いです。なので、その辺のところをお母さんはどう思っているのかお伺いしたのですが……」


 六花先生の話をずっと静かに聞いていた母ちゃんが、六花先生の問いに対して口を開いた。


「どう思ってるか……ですか。……そうですね、単刀直入に言えば……」


 そこまで言うと、さらに一つ間を取ったあと、こう言った。


「好きにやれって感じですかね」

「……え?」


 母ちゃんの言葉が予想外だったのか、思わず声が漏れる六花先生。


「……あ、別に放任主義とかそういうのじゃないですよ」


 そして、自分の言い方がまずいと思ったのか、慌ててそう言う母ちゃん。


「……ではどういう……?」

「あー……何て言えばいいんでしょうか? もちろん、私も親ですので息子のことは心配してます。この子、冷静に見えて結構無茶やることあるみたいだし……。でも、この子が冒険者という道を選んでいる以上、頑張ってくれ、応援するぞ! って感じって言えばいいんでしょうか……?」


 ……く、この親……!

 担任の前で中々恥ずかしいこと言うんじゃねえよ……。

 ……まあ、少し嬉しいけど。


「……なるほど。……日向、あまり親御さんに心配はかけさせないようにしろよ?」

「……はい」

「うむ……。ところで日向、神崎の時の面談で聞いたのだが、お前たちのチームは結構な頻度でダンジョンに行ってるらしいじゃないか」

「え? はい、まあそこそこ行ってはいますね」


 俺がそう言うと、六花先生はさっきまでとは打ってかわり、口元に少し笑みを浮かべる。


「ほう、ではそろそろ()()()()の条件を満たしているのではないか?」

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