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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第2章 炎天下の熱闘
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12.期末実技③ 幼馴染みでライバル

 今日の実技テストは午前の9時からスタートし、12時から1時間の昼休憩を取った後、15時半ごろまでやる予定になっている。


 現在は、午後14時を過ぎた辺りで実技テストも終盤を迎えていた。


 俺はまだ1試合残っているのだが、須藤との試合以降特に名前を呼ばれることもなく暇だったので、他の仲の良いやつとかと他の試合を見たりして時間を潰していた。


「―――あ? じゃあ紗奈が機嫌が悪かったのってお前と当たった試合で負けたからってことなのか?」

「恐らくな……」


 試合を鹿央と見ながら話をしていると、午前からずっと紗奈の機嫌が悪い理由が判明した。

 俺と須藤が試合をしている時、隣のフィールドでは鹿央と紗奈が試合をしていたのだが、試合はすぐに勝負が決まり、紗奈が場外で負けたそうだ。

 そして試合後、鹿央が紗奈に声を掛けに行ったところ、ムッとした顔で最初に無視されたらしい。

 試合前には「貴様の弱点は見切ったぞ……くっくっくっ……」とか言って自信満々そうだったらしいので、弱点を見切ってるどころか逆に自分が速攻で負けへそを曲げたのではないかという結論に鹿央の中ではなったらしい。

 というかそれが本当だとしたら。


「……あいつどんだけ子供なんだよ……」


 実技テストの試合で負けたくらいでそこまで不機嫌なるか普通?

 ……まあ、点数には関係してくるから少しくらいならわからなくもないが。


「いや、我も試験と聞いて少し大人げなかったかもしれん」

「大人げないってお前……」


 正直、紗奈も紗奈だがこいつはこいつでツッコミたいことがたくさんある。

 紗奈の性格はあれだが、実力的に言えばアビリティ科の1年の中でも上位に食い込んでるレベルである。

 その紗奈を大人げないという表現で圧倒できるこいつは一体何者なんだろう……。

 これだけの実力がありながら、少なくともうちのクラスでは入学時には誰も知らなかったこの鹿央という男。


「……なあ、鹿央って―――」


 俺の思っていた疑問を鹿央に聞いてみようと思った時だった。


「次、日向南! そして結城晃太!」


 俺の名前が呼ばれる。


「……呼ばれたな」

「ああ……行ってくるわ」


 俺は名前を呼んだ六花先生が試験官をしている方のフィールドへ向かい、中へと入った。

 フィールド内では既にやる気満々の晃太が軽くストレッチしている。


「おう南。まさかお前と当たるなんてな!」

「……ホントだよ」


 俺の中で、この実技テストでは出来れば当たりたくない相手というのが何人かいたのだが、晃太はその1人である。

 長年一緒にいただけあって、お互いのアビリティや戦闘スタイル、傾向なんかは知り尽くしているし知り尽くされている。

 そして、晃太みたいなタイプは俺に取っては少し苦手なタイプである。

 ちなみに、一番当たりたくない相手はモチのロン、鹿央である。


「さて、南と勝負すんのは久々だよなー」

「そうだな」

「今回“も”負けないからな」

「……言っとくけど、今回“も”勝つのは俺だ」


 俺と晃太は自然と戦闘体勢に入り、スタートの合図を待つ。

 そこに、六花先生がタイミングを見計らったのか、息を吸って試合開始を告げた。


「では、始め!」

「“変身(チェンジ)”!」

「“噴火鉄拳”!」


 試合開始直後、俺はレッドモード、晃太は変身(チェンジ)で互いに強化形態になり、俺がそこから先制攻撃を仕掛ける。

 こういうときには、アビリティの多少の性能の差が出てくるもので、晃太の変身(チェンジ)は大体1秒ちょっとかかるのに対し、俺のレッドモードは一瞬でなれるので、こっちの方が少し攻撃を早く使用することができるのだ。


「“アクアブロー”!」


 だが、晃太は慌てることなく、俺の動きを予測していたかのように変身後、水を纏った打撃の魔法で“噴火鉄拳”を防ぐ。

 晃太を相手にする際には、これが面倒くさい。

 晃太の使っているマナストーンは、変身(チェンジ)の複雑な詠唱と魔力変換を簡易化するプログラミングでほとんどの容量を使っているのだが、晃太は残り少ない容量に魔力消費の少なくて利便性のある各属性の打撃魔法の詠唱簡略のプログラミングを追加することによって、接近戦においてはフォース使いと変わらないスピードで攻撃を放つことができるのである。

 晃太の操る属性は雷、炎、水の3種類。

 正直、変身(チェンジ)の強化形態で接近戦に持ち込まれたら、こっちもレッドモードになっているとは言え、相性的に不利な戦いになってしまう。

 なので、接近戦はなるべく避けたいところなのだが……。


「“大火手裏剣”!」

「“バブルショック”! からの“アクアブロー”!」


 距離を詰められないように且つ、ダメージを負わせる算段で“大火手裏剣”を放つと、晃太は初級魔法の“バブルショック”で威力と速度を和らげ、即座に“アクアブロー”で“大火手裏剣”を殴って相殺させるという多少強引な手で防いできた。

 そして、さらに追撃するように詠唱を始める。


「激しい水流の如く敵を呑み込め、“アクアウェーブ”!」


 晃太の周囲から大量の水が現れると、そのまま大きな波を起こして俺に襲いかかってきた。

 これはやばい。

 アンチアビリティで囲まれたこのフィールド内では逃げ場が上しかない。


「くそ……!」


 俺は〈紅蓮の翼〉を使って上へと回避する。

 この大特訓場の天井までの高さは10mぐらいあるのだが、アンチアビリティは天井のギリギリのところまで伸びているので、それなりには飛行することもできるのだ。


「稲妻の如く敵を穿て、“サンダーアロー”!」


 それを読んでたかのように攻撃してくる晃太。


「“火苦無”!」


 だが、それは俺にも分かっていたので“火苦無”を“サンダーアロー”にぶつけて相殺させる。そ

 今度は俺の番だ。


「“エアロブースト”」


 俺は上空から“エアロブースト”使って猛スピードで晃太目掛けて突っ込んでいく。


「“メテオストライク”!」


 そして勢いそのまま、“メテオストライク”を踵落としで放つ。


「っ! あっぶねぇ……」


 しかし、晃太もそれを読んでいたのか、“アクアブロー”を両手に発動させ、俺の“メテオストライク”を手の甲を使って上手くガードしてきた。


 ここで、一旦晃太と距離を取り体勢を整え直す。


「ふう……今のは来るってわかってなかったらやばかったぜ……」


 そう言って一息つく晃太。

 まあ、読んでくるとは多少考えたが、“エアロブースト”の加速+“メテオストライク”の威力で押しきれると思ってたから、あそこまで防がれたのはちょっと痛いな……。


「さあ南、行くぜ!」


 晃太はそう言って、再び攻撃体勢に入った。


 さあ、今回はこのバカにどうやったら勝てる? 考えろよ、俺。

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