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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第2章 炎天下の熱闘
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11.夏の始まり③ 組手

「ねえ南」

「何?」

「私、鹿央君のことがよくわかんないんだけど……」

「唐突にどうしたんだよ?」


 鹿央と紗奈の勝負(という名の特訓)が始まった後、俺が特訓場の道具置場にあるリモコンを使ってアンチアビリティを発動させて、鹿央たちと俺たちのスペースを区切っていると、美穂がそんなことを訪ねてきた。


「いや……鹿央君ってほら……紗奈と同じというか……話し方があれじゃん?」

「そうだな」

「けど、その割には何かやけに落ち着いてるというか……大人びてるというか……んー、何て言えばいいのかな……」


 美穂は自分から話題を出しておきながらそこで言葉に詰まる。

 というか、逆に言えばそれ紗奈のこと落ち着きのない子供って言ってるようなもんじゃないか?

 あながち間違ってないけど。


「……まあ言いたいことはわかる。けど鹿央って何だろうな……中二病みたいな口調なのに何か気品を感じるというか何というか……何て言えばいいんだろうな? ……とりあえず、あいつは良いやつってのは間違いないないよ」


 俺はアンチアビリティで区切られた向こう側に目をやる。

 2人の戦闘は、紗奈が連続で魔法をぶっぱなして鹿央がそれをひたすらいなしていた。


「……さて、俺もやるかな。美穂はどうすんだ?」


 2人の様子を見て、何となくやる気が上がり軽くストレッチをしながら美穂に訊ねると、少し考え込み、


「……うーん、テスト……それも1対1ってなるといつもみたいにサポートだけじゃ点数稼げないだろうし、攻撃魔法でも練習しようかな……。南は“朱凪”の練習だっけ?」

「ああ、でもその前に準備運動がてら動こうかなって……というわけでどうだ? 俺たちも勝負……じゃないけど組手しないか?」

「お、いいよー。……じゃあ早速……」


 俺と美穂は互いに距離を取って対峙する。


「んじゃ行くぞ」


 俺はレッドモードになり攻撃体勢に入る。


「いきなりそれですか……」


 美穂もそう言いながら構える。


「“火手裏剣”」


 まずは先制と牽制を兼ね、“火手裏剣”を両手から1発ずつ放つと、美穂は素早く反応する。


「“エンチャント・アクセル”!」


 付加魔法による高速移動で俺の攻撃を避けると、今度は美穂が攻撃体勢に入る。


「“アクアアロー”!」


 水属性の複数の矢が俺目掛けて放たれる。

 セオリー通りの相性を突いてくる攻撃。


「くらうか!」


 だが、わざわざ迎え撃つ必要もないので俺は横に跳んで回避し、反撃する。


「“大火手裏剣”!」


「“プロテクト”!」


 “大火手裏剣”を放つと、美穂は避けきれないと判断したのか、“プロテクト”で防御体勢に入る。

 俺はその隙に“エアロブースト”で美穂に接近する。


「……だと思った! “ハイプロテクト”!」

「まじかよっ!」


 美穂が“プロテクト”を解除した瞬間を狙って、“火炎刃”を叩き込もうと目論んだのだが、それを見事に読まれ、“ハイプロテクト”で完全に弾き返されてしまう。

 そして、弾かれた隙を狙っていたかのように美穂は手のひらから魔法陣を発動させて、魔法放つ準備をする。


「“アクアアロー”!」

「“火苦無(ひぐない)”!」


 そして、至近距離で“アクアアロー”を放ってきたところを、俺は咄嗟に上半身をのけ反らせて左足のつま先からクナイを型どった炎のフォースを形成し、“アクアアロー”を弾き飛ばした。


「っぶねえ……」

「くうっ! 今のは行けたと思ったんだけどなー!」


 そこで互いに攻撃の手を止め、美穂が上半身をのけ反った勢いで地面に倒れ込んだ俺に手を差しのべてきたので、俺は美穂の手を取って起き上がった。


「さんきゅ」

「はああ……さすが南だね。まさかあそこから反撃するなんて……」

「いや、さすがってのはこっちもだわ。まさかあの陽動を読まれるなんてな」

「3ヶ月もチーム組んでたらわかるって。ほら、南って不意打ちとか相手の虚を突いてくの得意じゃん。だからもしかしたらって思って」

「何かそういう言われ方されるとあれだけど……まあ、一緒にいりゃ流石にわかってくるか」

「まあね。最後の攻撃は初めてみたけど」

「ああ、“火苦無”か。まあ、遠距離攻撃なら手裏剣攻撃あるし、接近戦なら“火炎刃”の方がリーチ長くて攻撃力あるからさっきみたいに咄嗟の状況とかじゃないとあまり使わないな」

「へえ……やっぱりそれって服部さんに教えてもらったの?」

「そうだよ。あれでも一応師匠だしな」

「ふーん……そういえば前から気になってたんだけど、服部さんって何で南と晃太の師匠なの?」

「んー、そうだな……気になるなら今度話してやるよ。それ話すと長くなるし」

「わかった。約束だからね」

「そんな約束する程でもないような……まあいっか。んじゃ、俺はそろそろ“朱凪”の練習でもするかな」

「……じゃあ私は“グングニル”でも練習しようかな」


 “グングニル”。

 美穂のとっておきの魔法。

 とっておきというだけあって、あの“影”との戦い以降、使ったのを1回も見たことがない。

 まあ、火力は申し分なくあるのだが、〈詠唱破棄(ノットスペル)〉が使えない上、長文詠唱のため、発動に時間がかかるのでその間時間稼ぎをしなけらばならない。

 その上、魔力消費も大きいので神器魔法とは言え、何とも使いどころの難しい魔法である。

 俺たちは互いの魔法とフォースが当たらないように離れ、練習を始めた。

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