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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第2章 炎天下の熱闘
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10.将来の夢④ 大きい夢、鞭と鞭

「……世界制覇?」

「うん、世界制覇」

「……南」


 世界制覇という言葉に何を想像したのか、美穂は俺を不安げな目で見てきた。


「……お前が何を想像してるか知らんが、陽菜の言う世界制覇ってのは、未開領域の全ての発見のことだと思うぞ。世界征服とかじゃないからな?」

「ならいいけ……ど? ……ってそれも結構な夢だよね!?」

「いいじゃねーか。夢は大きい方が楽しいじゃん。……それに」


 美穂が驚く中、晃太が笑ってそう返す。


「それに?」

「何か、俺の予感だと本当にやりそうな気もするんだよな……」


 晃太は、笑いながらも真面目な雰囲気でそう続けて言った。

 まあ、普通なら小学生の言うことだろうと、笑って信じなくてもおかしくないだろうが、俺も晃太に同意で、陽菜は将来本当に世界制覇をやりかねない予感がする。

 何というか、まだアビリティも発現していない小学生なのに、たまに言う言葉に本気を感じる時があるというか、芯が通ってるというか……あくまで予感でしかないのだが。


「……逸材!」


 すると、そんな陽菜に紗奈が目を光らせているのが目に入った。

 いかん、陽菜に中二病が万一にも移ったら大変だ。


「さて、そろそろ再会しようぜ。結局あまりやってないし」


 俺はそう言って、残っていたおやつやら飲み物やらをまとめて普段勉強する方の学習机に乗せ、テーブルの上を再び勉強できるようにした。


「ええ、もうちょっとだけー」

「ダメだ」

「ぶー……」

「今どきぶーって言うやつ早々いねえぞ……」


 もっと話したそうにする陽菜に、俺は一息ついて。


「しょうがねえな……」

「あ、もしかして……」


 ペンダントを握り、ハバネロを召喚した。


「……む、何だ……突然呼び出して……」


 寝ていたのか、目を擦りながら欠伸をするハバネロ。


「突然で悪いけど、陽菜の遊び相手になってくんねーか?」

「? ……ふむ、なるほど。構わんぞ」


 俺の言葉に、周囲を見渡して状況を察知したのか、ハバネロは快く了承してくれた。


「というわけで、陽菜、俺たちの代わりにハバネロと遊んでこい」

「えー……しょーがないなー! 行こうハバネロ!」

「え……ちょ……待て……ひ……」


 しょうがないと言いつつ、顔を(ほころ)ばせた陽菜はハバネロの翼を掴んで外へと元気良く出ていった。


「……え、南……仮にも神獣なのに、あの扱いはどうなの? 妹のお守りって……」


 そして、その様子を見ていた美穂が引きぎみに俺を見てくる。


「いいんだよ。ハバネロも陽菜と遊ぶのは満更でもなさそうだし……っておい紗奈。何お前も遊びたそうな顔してるんだ?」

「そ、そんな顔してないわっ!」


 ふと、紗奈の方を見ると、羨ましそうな顔で陽菜とハバネロが出ていった後の部屋の扉を口惜しそうに眺めていた。


 こいつは本当に……。


「さ、さあ、再会しようではないか! 晃太、では続きを--」

「あ、ちょっと待ってくれ」


 誤魔化すかのように紗奈が教科書をバタバタと開いていくと、晃太がそれをストップさせる。


「む? 何だ?」

「紗奈……悪いけど……」

「?」


 言いにくそうに喋る晃太に首を傾げる紗奈。


「南とチェンジで!」

「な、何故!?」

「わかりづらい!」

「なっ……!」


 晃太の直球の言葉にショックを受ける紗奈。

 きっと、あいつの中では分かりやすく教えていたつもりだったのだろう。




 ―――ということで、結局いつも通り俺が晃太の勉強を見ることになったのだが……。


「だから、そこはたすき掛け使えって!」

「すまん……たすき掛け依然に公式が……」

「公式ならそこに書いてるだろ! とりあえず今は公式見ながらでいいから解き方のパターンだけ覚えろ!」


 いつも通り、覚えの悪い晃太に俺はひたすら問題集を解かせていた。


「……スパルタだ……」

「こいつ……鬼か?」


 美穂と紗奈が横でそんなことを言ってくるがそんなことは関係ない。

 晃太はこのぐらいびしばしやらないと本当に覚えない。

 何で魔法が使えているのか不思議なくらいである。

 そしてそんなこんなで、この勉強会は毎日俺の家で続き。

 ある時は、


「何でそうなる!? これはお前の考えじゃなくて著者がどう考えているのかを文章中から抜き出す問題だぞ!」

「でも、この著者の書いてることどうも気に食わなくて……」

「そういう問題じゃねーっつの!」


 またある時は、

「違う! 確かに紛らわしい名前をしてるが、中大兄皇子と中臣鎌足の大化の改新後の役割は逆だ。というか、皇子ってついてるからわかるだろ!」

「いや……引っ掛けかなって」

「歴史に引っ掛けとか早々ねえから」


という具合に、晃太の勉強は捗らないことが多く、俺だけでは面倒くさいと判断し、美穂と紗奈にも結局手伝ってもらい3人がかりで晃太に勉強を教える日々となった。




 そして、テスト当日になり、俺は晃太に教えていたことが逆に自分の勉強になったことから、不安視してた科学と古文を含め、高得点を獲得。

 美穂と紗奈も中間より点数が上がったと喜んでいた。

 肝心の晃太はというと……。


「ギリギリ赤点は回避出来たぜ!」


と、普通なら人に見せるのをためらうような点数を自慢げに俺に見せてきた。

 まあ、晃太の頭脳を考えれば及第点ってところだろう。

 あとは、7月にある実技試験を終わらせたら、いよいよ夏休みである。

 夏休みにはあるビッグイベントがある。

 それまでに、あれ、間に合わせないとな……。







































 ちなみに、学は赤点を3つほど取り夏休みの補習が決定した。

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