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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第2章 炎天下の熱闘
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10.将来の夢② 勉強ができる≠勉強が教えられる

「ふう……最近の小学生どんだけマセてるんだよ……」


 皆を俺の部屋に案内し(晃太は勝手に行き)最後に部屋に入って扉を閉めた後、思わずため息をついた。


 あの後、陽菜に俺たちはただの友達だと説明したら、


「えー、でもひなのクラスの男の子は『男ってのはな、自分の好きな女子しか女は家に入れないんだぜ』って言ってたよ?」


と、言い放っていた。

 そんな陽菜に俺は、別にそんなことはないぞと否定だけしてこの話をすぐに切り上げさせた。

 まあ、少し放っておいて見ても面白そうだったが、美穂と紗奈が陽菜のどストレートな質問に顔を赤らめて、母ちゃんが口元をニヤッとさせたのが見え、少し面倒なことになりそうだったし。


「でも陽菜ちゃんかわいいね」

「まあな」

「……そこは認めるんだ」

「当たり前だろ」

「南は昔から陽菜のこと大好きだからなー」

「え……まさかシスコン……?」

「そういう言い方されるとあれだが、まあ否定はしない」


 かわいい妹をかわいいと認めて何が悪い。


「へえ……」

「……一応言っておくけど、俺は陽菜が妹として好きなだけだからな」


 怪しげな視線で俺を見てくる美穂。


「……ま、いっか。でも兄妹って感じだよね。顔……特に目付きとか全く似てないのに雰囲気が南に似てるというか。あとは……」


 美穂はそこで言葉を止め、俺の頭頂部に視線を送る。


「……うちの家族って親父以外は癖っ毛なのか、整えようとしてもこうなるんだよな」


 俺は頭頂部のピョンと跳ねているアホ毛に軽く触れる。

 今言ったように、我が家の家族は親父以外が全員がもれなくアホ毛になっていて、おそらく俺も陽菜も髪の毛は母ちゃんの遺伝子を濃く受け継いでいる。


「さて、無駄話してないでそろそろ勉強しようぜ」


 俺は部屋の隅に置いてあった折り畳み式のテーブルを中心まで移動させ、勉強できるように各々自分のペースを確保していくんだが。


「紗奈?」


 さっきから静かだと思っていたら、紗奈はボーッと俺の部屋をずっと見渡していた。

 

「おい紗奈」


 美穂の呼び掛けに反応しなかったので、今度は俺が呼び掛けてみると紗奈は体をビクリと震わせてこっちを向いた。


「な、何だ南?」

「名前読んだだけでびっくりすんなよ……。そろそろ勉強始めるぞ」

「あ、ああ、そうだった。勉強、勉強……」


 そう言って紗奈は自分の鞄から教科書やノートを取りだしテーブルに置く。

 ……こいつがボーッとしてた理由は何となく予想は着くが、面倒くさいから突っつかないでおこう。


「今日は何からやる?」

「そうだな……各自苦手な教科を中心にやってく感じでいいんじゃないか? わかんないところあったら誰かに聞くって感じで。ちなみに俺は科学と古文だな」

「それだったら私はとりあえず地理かなー」

「俺は全部だな!」

「おい」


 全部ってお前……。


「……まあいいや。紗奈は? 苦手なのとかあるか?」


 晃太のことは後で最低限はどうにかしてやるとして、俺が気になるには紗奈だ。

 こいつが一体何が出来て何が出来ないのか……。


「くっくっく……」


 紗奈は待ってましたとばかりににやけた後、鞄からごそごそと何かを取り出してそれを机に置いた。


「これ、中間の答案か……って、まじかよ……」


 机に置かれた紗奈の中間テストの点数を見ると、全ての答案が90点越えで歴史のテストに関しては100点という数字が刻まれていた。


「ええ……」


 美穂も紗奈の答案を見て驚いている。

 でも、まあ思い返してみれば、授業とかでも先生に当てられてた時何だかんだありながらもちゃんと答えていたよな……。

 ふと、紗奈の顔を見るとドヤっと言わんばかりの偉そうな表情をしている。


 ……あいつ、これ見せてドヤりたいためだけのために持ってきたんじゃないだろうな?


「この通り、我に苦手なものなどないのだ……くっくっく……」

「……ほう、なら紗奈が晃太に勉強教えてやれよ。俺は自分の勉強するからさ」

「ふっ……いいだろう。この天才なる我が勉強を教えてやろうではないか! さあ! さあ!」


 何となく発してみただけだったが、存外やる気を出した紗奈が晃太にグイッと迫る。


「あ、ああ……よろしくな」


 そんな紗奈を見て若干怖じ気づきながらも、晃太は紗奈にわからないところを聞き始めた。


「さ、俺らも勉強するか」

「そうだね」


 そして、2人の様子を見ていた俺と美穂も教科書とノートを開いて、勉強を始めた。




「……………」

「……………」

「―――で、この式は()で覆われてるから、それをバッとやっちゃってパパっと解けばできるだろう?」

「? お、おう……?」

「……なあ、紗奈の言ってること、わかるか?」

「いや、さっぱり……」


 紗奈の指導による晃太のテスト勉強が始まって10分程経った頃、俺は美穂に小さい声で聞いてみると、美穂は唖然としながらそう返してきた。

 授業の復習をノートに纏めながら、俺は紗奈の指導を聞いていたのだが、正直何を言っているのかさっぱりわからなかった。

 数学を教えているのか、時々公式を言って解き方を教えているのは何となくわかるのだが、その解き方が何を言っているのかさっぱりわからない。

 というか教え方下手くそだろ。

 何で数学で擬音が出てくるんだよ。


「どうだ? これで晃太もテストで高得点間違いなし」


 晃太が全く理解してない顔をしてるのに、紗奈は自信満々にそう言う。


「紗奈、ちょっと待って--」


 コンコン――――


 晃太が紗奈に何か言いかけると、部屋の扉がノックされる。


「はいよ」


 俺が扉を開けると、そこにはお菓子やら飲み物やらが乗ったお盆を持った陽菜が立っていた。

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