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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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9.森の古城⑥ キーアイテム

▷▷日向南


「―――そもそも、どうなってんだよお前の魔力は? 何であんな魔法ぶっ放してピンピンしてるんだ?」

「ふっ、我の魔力は無限大(インフィニティ)である。あの程度の魔法で疲れるわけがなかろう」

「あの程度ってお前……」


 モンスターハウスをどうにかした後、俺と紗奈は2階の部屋を一通り見て集合場所である玄関前のロビーへ戻ってきていた。


「そもそもあの魔法は紗奈の最大魔法じゃないのか?」


 確か、レクリエーションの時そんなことを言っていた気がする。


「いかにも。我が“ヘヴンズヘル”は現在我が放てる最大火力の魔法。しかし、我は未だ成長中の身である。まだ誰も知らない高みへと到達した時、神をも越える魔法を扱えるようになるはずである。その時に備えて日々鍛練を行っている我にとって、“ヘヴンズヘル”を撃つことは朝飯前である」


「……さいですか」


 要は、自分の最大火力の魔法を1回使ったぐらいじゃ何ともないくらい魔力量が多いってことか。


 くそ、正直言って羨ましい。


 俺なんて“朱凪”を使っただけで自分の波動の半分以上は消費するってのに。

 それだけでなく“エアロブースト”使っただけでも波動の消費が激しい。

 これだけ聞くと、俺の波動量が少ないように感じる人もいるかもしれないが、実はその逆で俺の波動量は一般的な高校生で冒険者をやってる人の倍ぐらいはある。

 これも朱雀の力の影響なのだが、“朱凪”も“エアロブースト”も朱雀が使う技で、本来であれば朱雀本人--ハバネロがそうであったように、“朱凪”と“エアロブースト”を使ったぐらいでは、契約者のマナが切れるということはないとハバネロが前に言っていた。

 つまりは、俺が朱雀の契約者として力をまだ使いこなせてないということなのだが、これはそれこそ鍛練して鍛えるしかない。

 だから、紗奈のように才能があってそれを使いこなせるというのは非常に羨ましいことなのだ。

 ……認めたくないけど。


「ふっふっふ……」


 紗奈が得意気そうに笑っていると、晃太と美穂が何やら疲弊した顔でトボトボと歩いて戻ってきた。


「……どうしたんだ? 2人ともそんな顔して」


 2人とも疲弊した顔をしているのだが、晃太はどこか満足そうな感じで美穂は今にも泣き出しそうな青ざめた顔をしていた。

 本当に何があったんだ。


「ああ、実はさ―――」


 美穂は何があったのかを話す気配がなかったので、晃太が探索中に何があったのかを話し始めた。




「―――なるほど。そりゃ美穂がこんな状態になるわけだ」


 晃太から聞いた事のあらましを大まかに言うと、城の厨房に潜んでいたカサカサを倒して戻ろうとしたところ、食堂で大量のカサカサに出くわし、それを全部どうにか倒したらしいのだが、その間美穂はそれはもう泣きわめきながらカサカサを次々と葬っていったらしい。


「……大丈夫か美穂?」

「…………だいじょばない」

「……そっか。とりあえず休んどけ」

「うん、そうする……」


 俺はロビーにあった椅子を近くに持ってきて美穂を座らせた。

 カサカサはGととても酷似しているため、女性冒険者だけでなく、男の冒険者でも苦手な人が多いという。

 ただ、経験値もそこそこ高いらしく、倒せば素早さが上がりやすくなるらしい。

 皐さんが言ってたモンスターはきっとカサカサのことなのかもしれない。


「ふむ……カサカサか。我も一狩りして経験値を稼ぎたかったが……。」

「別に経験値なら稼げたからいいじゃねーか」


 というか、言い草からして紗奈はカサカサ平気なんだな。

 こいつこそ苦手にしてそうだが……。


「そう言えば、南と紗奈はどうだったんだ?」

「ああ、かくかくしかじかだったよ」

「へえ……ってわかるか!」

「冗談だよ。俺たちは―――」


 晃太の乗りツッコミの後、俺は晃太と美穂に結果を報告する。


「……南たちも大変だったんだね」

「モンスターハウスか……俺もちょっと体験してみたかったな」

「お前もモンスターハウス体験したようなもんだろ」


 カサカサの群れを相手にした後によくそんなことが言えるな。

 美穂は今の話聞いて顔が引きつってるぞ。


「……で、モンスターハウスを撃破したらこんなのを発見したんだけど」


 俺はモンスターハウスになっていた部屋で見つけたものを懐から取り出す。


「……鍵?」


 それは、例の光る小さな箱の中に入ってた中身の正体。

 形は普通の鍵なのだが、頭部が黒く装飾されていて、何かの紋章のようなものが刻まれている。


「多分、どこかの部屋の鍵だと思うけど……」


 探索した範囲にはこの鍵が使えそうなところは見つけられなかったが、どこかにこれを使う部屋があるはずだ。


「くっくっく……これはきっととてつもないものを封印している扉の鍵かもしれぬな」

「あ、それと似たようなの俺も見つけたぞ」

「「「え?」」」


 紗奈が何か言っていると、晃太は思い出したかのように懐から俺が持っている鍵と同じ形の鍵を取り出した。

 ただ、晃太が持っている鍵は頭部が白くなっている。


「え? そんなのいつの間に見つけてたの?」


 何故か俺と紗奈と一緒に驚いていた美穂が晃太に尋ねる。

 どうやら、美穂が気づかないうちに見つけてたのだろう。


「カサカサ倒してたらドロップアイテムで出てきた」

「まじか……」


 鍵がドロップアイテムで出てきたってことは、そういうギミックだったのか、それとも別の場所にあった鍵をカサカサが飲み込んでいたのか……ま、ここで考えててもわかんないか。


「……とりあえず、休憩しないか?その後、皆でこの鍵が使えそうなところ探そうぜ」


 俺が提案すると、全員頷き、俺たちはロビーで一休憩することにした。

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