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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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9.森の古城① 幼なじみは勉強ができない

▷▷日向南


「はあ……はあ……」


 早くこいつをどうにかしないと……。


「くそ……いい加減そこをどきやがれ! ”ビートウェーブ“!」


「“メテオ……スマッシュ”!!」


 俺は敵の攻撃に正面から突っ込んで全力で殴りかかる。

 ここだけは、通させるわけにはいかない……!

 それは、6月に入り少し経った頃のこと。


「経験値を稼げそうなダンジョン?」


 昼休み、たまたま出くわした皐さんに俺は聞いた。


「はい。Dランクでも入れて、そこそこ経験値を稼げそうな都合の良いダンジョンってないですかね?」

「おお……正直に言うね。そんな都合の良いところあったら今ごろそこは冒険者で溢れかえって有名になってるって」

「……ですよねー」


 皐さんの言うことはごもっともである。

 そんな都合の良いダンジョン、早々あるわけがない。

 何故、こんなことを聞いたかと言うとちゃんと理由があるのだが……。


「ていうか、どうしたの? 別に日向君ぐらいの実力あれば、そんなに急いで経験値溜めなくても問題ないと思うんだけど」

「いや……体育祭の時に自分の扱うフォースに対して、まだ波動量が追いついてないなと思って。それで効率良く波動量上げるなら経験値稼ぎかなって考えて」


 体育祭では、“エアロブースト”と“朱凪”の波動の消費量が激しいと同時に自分の波動所持量が釣り合ってないことを再認識させられた。

 “エアロブースト”に関して言えば、今は100%の力でしか発動させられないので、出力を抑えて使えるようになれば波動管理も上手くできるのだろうが、”朱凪“は極級の技だけあって、普通に発動させるだけでも俺の波動のうち半分は波動を消費する。

 なので、これからのことを考えていくなら、今のうちに上げれるだけ波動量を上げたいと思ったのだが。


「うーん、確かに日向君、あの時すごいボロボロだったもんね。経験値の稼げるダンジョンか……。Dランクで行けそうなところねえ……」


 皐さんはうーんと手を顎に乗せて考えた後、何か閃いたような顔をした。


「そうだ。あそこなら経験値稼ぎにいいかも……!」




「―――というわけで、明日は森の古城に行こうと思うんだけどどうだ?」


 放課後、マックでハンバーガーを頬張る3人に提案する。


 皐さんが教えてくれた森の古城は、街外れの森の奥にあるダンジョン化した古ぼけた城らしい。

 いつの時代に建ったのかはわからないらしいが、この国に似つかわしくない洋風のその城には、洞窟は森にはいないモンスターがいて、経験値もそこそこいいらしい。

 皐さんいわく。


「普通のDランク冒険者ならきついダンジョンだと思うけど、アビリティ科に入るような実力者、それも日向君くらい強いなら大丈夫だと思うよ」


 ということらしい。


「古城……悪くない……」


 紗奈が顔をにやつかせながらハンバーガーを頬張る。


「おう、いいんじゃねえの?」


 即答する晃太。

 後は美穂次第だが……。


「そこって街外れにあるところでしょ? 結構距離あるんじゃない?」


 少し面倒臭そうにしている。


「ああ。けど、森の近くまでバスは出てるし、森って行ってもそんなに広くないからすぐ着くぞ」

「……うーん。まあ、私たちが行けるダンジョンってとりあえず一通り行ったような感じもするし……いいよ、その古城に明日は行くってことで」

「よし、決まりだな」

「……でも、明日ダンジョン行ったらしばらくは休みにしない?」

「……んー、そうだな。今月末は期末テストだしそうするか」


 俺がそう言うと、晃太がガタッと音を立てて固まる。


「……お前、もしかして忘れてた?」

「…………」

「どうかしたの?」

「……晃太は勉強の方がちょっとあれでな」


 晃太は完全に忘れてたような顔をして、俺に助けを求めるように見てくる。


「………はあ。恒例の勉強会、今回もやるか?」


 俺のこの言葉に晃太はパアッと目を輝かせて、


「ぜひお願いします先生」


頭を綺麗に下げてきた。


「恒例の勉強会?」


 すると、美穂がクエスチョンマークをつけて俺に聞いてくる。


「中学の時からテスト近くなると、俺と晃太で勉強会してたんだよ。晃太に教えることで俺も復習できるし」

「……ああ、そう言えば南って中間の時も結構良い点取ってたよね。意外なことに」

「意外っていうのはどういう意味だ?」

「……別に大した意味は……そうだ。私たちもその勉強会混ざってもいい? 1人で勉強してるとどうしても集中しきれなくて」


 美穂が話題を反らすようにそんな提案をしてくる。


「……まあ、別に我は大丈夫だが、良いだろう……」


 シェイクを吸いながら同意する紗奈。

 そういや、こいつの成績ってどうなんだろうか。

 前に中間の点数聞いた時は教えてくれなかったし……。


「良いよ。晃太に教えてくれるのが増えれば自分の勉強もできるし。どこでやるとかは……あとでだな」

「わかった」

「心得た」

「ありがとうございます南先生」

「んじゃあ、この話はここまでで……明日は9時にギルド集合でいいか?」


 俺が聞くと、全員頷き明日の予定が決まった。

 さて、古城にはどんなモンスターがいるやら……。

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