8.体育祭⑩ 南VS紗奈、再び
睨み合うように対峙する俺たち5人と晃太たち3人。
「くっ……くっくっくっ……や、やるではないか……我の攻撃を全て防ぐとは……」
若干震えながら決めポーズをする紗奈。
「すげえな! 何だ今の!?」
興奮する晃太。
「ね……ねえ、鹿央君ってこんな強かったの……?」
ポカンとする美穂。
鹿央の“魔王之手”なる技が出されたあと、この3人を始め、俺たちや周囲の観客までもが一瞬静かになった。
「敵が怯んでいる。今がチャンスだ……どうした?」
そんな中、冷静にしている鹿央が固まってる俺たちを見て首を傾げる。
「……どうしたってお前……って! 来てるぞ鹿央!」
「む? ……っと」
鹿央が俺たちの方を見ていると、唯一わくわくした表情の晃太が鹿央に攻撃を仕掛けるが、鹿央は俺の掛け声とともに攻撃をかわす。
「光の剣よ、今その輝きを放ち闇を裂け、“ライトニングセイバー”!」
しかし、すぐさま追撃で紗奈がSギアの装飾されている杖から魔法を放ち、光属性の刃を俺と鹿央に向けて横に薙ぎ払ってきた。
「ヒナタ」
「任せろ、“メテオスマッシュ”!」
俺は晃太の言うところのレッドモードになると、右手に紅蓮のフォースを纏い“ライトニングセイバー”に殴りかかり、相殺させて防いだ。
「“ウォーターショット”!」
そこを、さらに晃太が追撃で攻撃してくるが、
「“鉄壁”(てっぺき)!」
武井が俺たちの前に出ると、鋼のフォースで盾を作り“ウォーターショット”から身を守ってくれた。
「2人とも、今私が付加魔法を……」
「させない! “アイスウォール”!」
そこを少し離れたところから、美穂が晃太と紗奈に付加魔法を掛けようとするが、須藤がそうさせまいと、広範囲に渡って氷の壁を作って妨害する。
「日向ー! 私と長谷川で美穂のことどうにかするから、そっちはお願いねー!」
分厚い氷の壁の向こうから、須藤の声が聞こえてくる。
あっちでは須藤と学VS美穂。
そしてこっちは俺と鹿央と武井VS晃太と紗奈。
数では有利を取っているが、いつ他の敵が乱入してくるかわかんない。
なるべく早く終わらせないと。
『……な、な、何なんだー!? あの1年生たちは一体何なんだー!? よくわかんない黒い手で光属性の攻撃を防いだと思ったら、今度は髪が赤くなった変なのがパンチでまた光属性の攻撃を防いで……挙げ句の果てには氷の巨大な壁作るとか……今年の1年はどうなってるんだあ!?』
何やら俺のことを変なのとか言って叫んでいる司会の声が響き渡る中、俺と鹿央と武井は、再び晃太と紗奈と対峙するように向かい合う。
「くっくっくっ……遂に決着を着ける時が来た。南、どちらが強いか、いざ勝負!」
「ふっ……いいぜ。泣いても知らねえからな」
紗奈と戦うのはレクリーエション振りか。
あの時はあやふやで終わったが、今日は決着着けてやる。
「あ、おい紗奈。俺も南と戦いたいんだけど」
「ダメ」
「どうしてもか?」
「……ダメ」
紗奈が折角決めていたところを、空気を読まない発言をする晃太。
「よーし、じゃあ俺が結城の相手してやるよ」
「お、そいつはいいや。頼むぜ、諒」
そこで、武井が晃太の相手をするよう誘導する。
「ヒナタ。我はどうすればいい?」
「鹿央は後方で俺たちの援護を頼む。あと、ここを狙ってきそうな敵も頼んだ」
「うむ、任された」
「ふっ……援護とは。それは南が我相手に1人では怖くて戦えないというわけか……」
「言っとくけど、安い挑発には乗んないからな。これはあくまでも団体戦。戦略だよ戦略。ていうか、実はお前が鹿央にビビってんだろ。さっきの鹿央の攻撃見てよ」
お返しとばかりに俺も挑発をし返す。
だが、いくら紗奈でもこんな安い挑発には乗んない―――
「そ、そんなわけなかろうて! 我は光と闇を統べりし者! あんなものごときでビ、ビビビ、ビビってにゃいから!」
……図星だったか。
「この、我を侮辱しおって……! 許さん! 敵を殲滅せよ! “ダークキャノン”!」
俺の安い挑発に乗った紗奈は、顔を赤くしながら簡略詠唱で魔法をぶっぱなしてきた。
「喰らうか!」
俺は“ダークキャノン”をかわすと、紗奈に向かって走り技を放つ準備をする。
レクリーエションの時は女子だからという理由で接近戦は敬遠していたが、同じチームになってからはそういうのは気にならなくなったため、普通に攻撃できる。
「“変身”! “サンダーブロー”!」
「なんの! 鋼鉄拳!」
俺と紗奈が戦っている隣では、変身した晃太と前腕から先を鋼で覆った武井が拳をぶつけ合っている。
『おーっと! 氷の壁のせいでフィールドが半分以上見えないなか、1人の1年生の姿が変わりました!あれは変身魔法でしょうか! 珍しいです! けど、折角のイケメンだったのにもったいない!』
「もらったぜ、紗奈」
攻撃の射程範囲に入った俺は手に“火炎刃”を纏って、紗奈の着けているカラーボール目掛けて降り下ろそうとしたのだが。
「“ライトニングジャベリン”!」
紗奈が咄嗟に無詠唱で“ライトニングジャベリン”を放つ。
「くっ……!」
無詠唱で威力が落ちるとは言え、この近距離で喰らったら俺のカラーボールが危ない。
「“エアロブースト”!」
俺は咄嗟に飛び上がって、“ライトニングジャベリン”をかわし自分のカラーボールを守るが、今の“エアロブースト”で波動が大分消費されてしまった。
「ふう……ちょっとヤバイかもな」
“アイスウォール”のてっぺんまで飛び上がり、着地したあと息を大きく吐く。
あと1回“エアロブースト”を使ってしまえば、俺の波動は空っぽになる。
なんだかんだで、ここまで体育祭を続けて波動も元々消費してたし。
かと言って、ここにずっと居座るわけにも行かない。
というか、紗奈と決着を着けないと気がすまない。
……よし、降りるか。
自分の波動量を考え、どう動くか決め“アイスウォール”から降りようとした時だった。
「“流星群”!」
木ノ崎先輩が放ったであろう“流星群”がフィールド全体に再び襲いかかってきた。




